【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ27)

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第二十四話ページ27

雪奈side

千耶｢・・・しかし、十鬼衆全員に召集がかかるというのは珍しいな。十数年ぶりではないか？｣
千歳｢確かに・・・それぞれ個別に呼び出されることは何度かあったが、全員集合ってのは久しぶりだよな｣

十数年ぶり？
そんなに珍しいことなのかと私は思った

汐見爺｢・・・それについては、全員揃ったあとに姫の方から話があるはずじゃ｣

そう言ったあと、汐爺はこちらへと視線を向ける

汐見爺｢その前に・・・姫がお嬢と何やら話したいことがあるそうじゃ。姫のところへ行ってくれるかの？｣
雪奈｢わかりました｣

私は早速、八瀬姫の部屋へ向かおうとしたところ

A｢あ！姉さん、ちょっと待って下さい！｣

急に絢華は私を引き止めた

雪奈｢どうかしたの？｣
A｢姫様の所に行くなら、ついでにこれを届けてくれますか？｣

すると彼女は風呂敷の中を漁り、手に持っている紐で縛られた絵を私に渡した

雪奈｢これは？｣
A｢姫様に頼まれた絵です。さっき、水源で描いたんですよ｣
雪奈｢へえ・・・｣

どんな絵なのか気になったが、ここは諦めて届けることにしよう

雪奈｢分かった。姫様もきっと喜ばれるわ｣
A｢へへっ。そうだといいですけど・・・では、宜しくお願いします｣

絢華の描いた絵を持って、私は八瀬姫の部屋へ向かった

※

Aside

八瀬姫様の部屋へ向かった姉さんの背中を見送っていると、千歳殿は青い顔で私に耳打ちしてきた

千歳｢なあ、もしかしてあの絵って俺が踏んだ絵じゃねえだろうな？｣

余程心配してたのか

A｢ええ、あなたが踏んだ絵ですよ｣
千歳｢なっ・・・・？！｣

千歳殿は凄い顔で驚く

A｢・・・なんて、冗談です｣
千歳｢え？｣

私はクスクスと笑いながら彼に話す

A｢確かにあの絵はあなたが踏んだ絵です。けど幸いなことにもう一枚完成していた絵があったのですよ。それがさっき姉さんに渡したものです｣
千歳｢な・・・何だよもう・・・｣

千歳殿は力が抜けたように地べたに座り込んだ

千岳｢千歳、運が良くてよかったな｣
千耶｢絢華が絵を完成させてなければ、お前は窮地に陥ってたかもな｣
秦｢全くですよ｣

三人は地べたに座り込む彼を見下ろしていた