【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ24)

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第二十一話ページ24

Aside

A｢それより、今あなたが姉さんに言った言葉、確かに正論を述べていますが、少しは慎んだらどうなのですか？｣

私の言葉に目食らったように秦殿は驚いた顔をする
だが、やがて

秦｢慎む？それはどういうことですか？｣
A｢人を口で弄んでいるところを見ていると、不愉快に感じるからです｣

私がそう言い切る

秦｢ほう、この私の言っていることが不愉快に感じると？｣
A｢はい｣

彼の問いに答えた時

秦｢あははははっ。まさか、私に反論する者がいるとは思いませんでしたよ。十鬼衆でもない、絵師のあなたに｣

秦殿はおかしく笑う

A｢十鬼衆でもない立場だからこそ、言えるのですよ｣

姉さんにあんなことを言ったから、誰だろうと反論するに決まってる！

秦｢ふふふっ、気に入りましたよ。あなたの態度に免じて、今回のことは詫びましょう。雪奈｣
雪奈｢・・・・あ、ありがとうございます｣

姉さんはポカンと秦殿を見つめていた

千岳｢凄いな、お前。真正面から秦に反論するなんて。こんな奴初めて見たぜ｣

千岳さんは苦笑いしながら私を見下ろしていた

A｢姉さんが弄ばれているところを黙って見ていられなかったので・・・｣

私は眉をひそめながら秦殿を見た
秦殿はまるで楽しそうに目を細めながら、姉さんに向き直った

秦｢そういえば、あなたの名前を聞いておきながら私が名乗らないのも失礼でしたね。私は、秦。二つの名を【西国の現神】と申します｣
雪奈｢現神・・・？｣

姉さんは首を傾げる
【西国の現神】・・・どっかで聞いたことのある異名だな

千岳｢その身に神を宿す者とか、地上にありながら神でもあるとか・・・まあ、そんな感じの意味だな｣
汐見爺｢秦の一族は、郷里では人間たちから神のような存在として崇められておるのじゃよ｣
雪奈｢そうなんですか・・・｣

千岳殿と汐見爺様の説明で納得する

秦｢まあ、人間にも崇敬されたところで、何の自慢もなりませんがね。人間というのは自分より優れた者を目にすると、崇め奉るか迫害するかのどちらかですから｣

秦殿は気だるそうな態度で言ったあと、煙管をくわえて煙草を吹かし始めた
その煙が風に流れて私の顔に被った

A｢げほっ、ごほっ！｣
秦｢おや、失礼。煙がそちらに飛んできましたか｣
A｢・・・・｣

秦殿は私を見てニヤニヤしながら煙管を手で弄んでいた
それに対して私は彼を睨み返した
やっぱり、この人が苦手だ