【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ23)

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第二十話ページ23

Aside

雪奈｢・・・私はここで、八瀬姫の護衛を任されています。雪奈です｣

姉さんは先程の不注意に気をつけて秦殿に自己紹介をした
すると秦殿は

秦｢おや、不注意とはいえ、千歳と千耶には自ら姓を名乗ったのに、私には教えてくれないのですか？なるほどなるほど。彼らとは懇意にするけれど、我が一族に気を許すつもりはないと。よく理解できました。それでは今後、涼森家の皆さんとの付き合いを考えなおさればなりませんね｣

何を言い出すと思えば気に障る言葉だった

雪奈｢えっ・・・？ま、待ってください！｣

姉さんは慌てて秦殿を止める
涼森家と言ったのだから彼は涼森のことを知っていたと確信した

雪奈｢申し訳ありません！気を許す許さずの問題ではなく、古来通りの作法と伺い、そう答えたまで、また、私の不注意な一言が、我が一族の命運を左右するとは気付かず、失礼しました｣

姉さんがそう言っても秦殿は意味深な笑みを浮かべるばかり
もしかしてだけど・・・試されているのか？
すると秦殿は口を開く

秦｢古来通りと言いましたが、その作法は本当にご存知だったのですか？さっき、あの二人から聞いたばかりなのでしょう？｣

私がいない時に起きたことを把握しているように姉さんに尋ねてくる

雪奈｢あの・・・どうしてそのことをご存じなのでしょうか｣
秦｢どうして、と言われても。その凝り固まった頭で考えてみたらどうです？自分で考えようともせず、すぐに答えを教わろうとするのは賢明とはいえません。どれだけ出来が悪かろうとも、頭は頭です。使わなければ、どんどん退化するばかりですよ｣
雪奈｢・・・はい、申し訳ありません｣

姉さんは秦殿を謝る
確かに彼が言ってることは正論だが・・・その言い方はないと私は思った
すると、秦殿は姉さんから私に目を向けた

秦｢あなたは確か・・・絢華でしたね｣
A｢え？よくご存知で・・・｣

もしかして姉さんが私の名前を呼んでたから知ってたのか・・・

秦｢以前から知ってますよ。私の一族にあなたの描いた絵を好んでいる者が多数いるので、よく名前を聞きます｣
A｢そうですか。秦殿に名前を覚えてくれるとは、とても光栄です｣

私の絵は秦殿の里にも伝わっているのか

秦｢しかし、私の気のせいでしょうね。【絢華】という名は本名ではないと考えますが・・・｣

秦殿はいたずらっぽくニヤリと笑うが、私は怯まず彼に微笑み返した