【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ22)

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第十九話ページ22

雪奈side

雪奈｢絢華、そこまでにしなさい｣

私はこれ以上言い合ってもくだらないと思い、絢華を止めた
すると彼女は少し千歳を睨みつけ呆れた目をする

A｢・・・姉さんに免じて、今回だけは許します｣

そう言うと絢華は深いため息をつき、床に座った

千岳｢よくできた妹分じゃねえか。雪奈｣

千岳さんは苦笑いしながら私に声をかけた

雪奈｢いいえ、私も未熟ですが絢華もまだまだです。私達は同じ八瀬姫をお守りする身なのですから、このくらいわきまえないと・・・｣

私がそう答えた時

？｢あははははっ。想像以上に勝ち気な頭領殿ですね｣

それまで傍らで事態を静観したいた男性が、笑い声を上げる

？｢まさか、千岳に向かって反抗する娘がいるとは思いませんでしたよ。この分だと、御家の将来は安泰ですね｣
千岳｢笑い事じゃないだろ、秦｣
？｢そう言われても、面白い物を見て笑うなというのは無茶な要求というものですよ｣

彼は目を細めて笑いながら、興味深そうな表情でこちらを見つめてくる

雪奈｢あなたは・・・？｣

戸惑いながら尋ねると、【秦】と呼ばれた人がにっこりと笑いながら切り返してくる

秦｢名を尋ねる時は己の素性を明かしてから、というのが最低限の礼儀だと思いますが、お三方から教えを受けていたとは思えないほどの対応ですね。厳しい修業に明け暮れていて、鬼としての立ち居振る舞いや礼儀作法は学んでいなかったのでしょうか？｣

柔らかい声音とは裏腹の辛辣な言葉に、一瞬ひるんでしまったけど・・・
すると、たまたま目に入った絢華の表情を見ると彼女は【秦】と呼ばれた人を凄く険しい顔で見ていた
余程、気に入らないのだろう

雪奈｢・・・確かに、名を尋ねる時は自分から名乗るべきでした。私はーー｣

【涼森家の頭領】と名乗りかけて、先程、千歳や千耶達と交わしたやり取りを思い出す
千岳さんは知っていたから名乗ったが、知らないかもしれない相手に名乗れば、また何か言われるかもしれない