【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ19)

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第十六話ページ19

雪奈side

絢華を連れて、私は皆と共に八角堂の中へと足を踏み入れた
冷えた清澄な空気が満ちた八角堂には、既に、数名の鬼が集まっていた
その中の一名、杖をついた爺様が、私を目にして嬉しそうに眉尻を下げる

？｢しばらくぶりじゃの、お嬢｣
雪奈｢汐爺・・・！お久しぶりです！｣

しばらくぶりに再会した汐爺に私は頭を下げる
この爺様は十鬼衆の中でも一番の年長で、八瀬姫の次に高い位にいる
だけど私に対しては他の爺様と同じく、子供の頃から親しく接してくれていた
分別をわきまえない接し方は、よくないと思うけど・・・
それでも爺様方は、私にとっては親戚のお爺さんたちのような存在

汐見爺｢ちと見ぬうちに、一段と美しくなったのう。鈴鹿御前が生きておった頃のことを思い出すわい｣
月島爺｢何を抜かしておるか！鈴鹿御前が生きておった頃は、あんたは影も形もなかっただろうが｣
琴浦爺｢いや～あり得んとは言い切れんぞい。何せ汐見爺は、我々の中では一番の年長者じゃからのう｣
汐見爺｢いやいや。年長者と言ってもここまで年をとれば、琴浦も月島も儂とかわらんじゃろうて｣
月島爺｢いや、全然違うだろう｣
琴浦爺｢汐見と比べたら、儂なんぞまだまだひよっこぞい｣
A｢年寄りの見てきた世界なんて聞いても分からないものだな・・・｣

隣にいる絢華は苦笑いしながら爺様たちを見ていた

琴浦爺｢お、絢華。もう帰ってたんじゃな｣

すると爺様たちは絢華に目を向けた

A｢ええ、おかげさまで連れ戻されましたよ。それより、爺様方が元気そうで何よりです｣
汐見爺｢おお、絢華か。また随分と大きくなったもんじゃな｣
月島爺｢絢華！俺達を待たせたことを反省しないで挨拶とはいい度胸だな｣
A｢はあ・・・一気に話されたんじゃこっちも言葉を返せませんよ・・・｣

絢華は困ったような顔をしながらため息を漏らした

千歳｢しかし、爺さん三人揃って年自慢かよ。まあ、その考え方だと、俺なんか卵にもなってねえよな｣
？｢自分の事がよく分かってるじゃないか。概ね、その通りだろ｣
千歳｢げっ、この声は・・・！｣

千歳が顔をしかめながら恐る恐る後ろを振り返ると、そこにはーー