【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ15)

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第十二話ページ15

雪奈side

水源への入口である獣道に着くと地面には絢華の足跡らしきものが続いていた

千歳｢随分、足小せえな｣
雪奈｢女子だから仕方がないでしょう｣
千歳｢本当に強いのか疑っちまうぜ｣

そう言いながらも私達は獣道を歩く
私も久々にここを歩いたものだった
最初にその水源に訪れたのは確か、彼女と親しくなって間もない頃だったと記憶している

千歳｢ん？おい｣

千歳は急に足を止め、私と千耶も彼に振り返る

千耶｢どうした？怖くなったなら帰ってもいいんだぞ｣
千歳｢そんなんじゃねえよ！何か、歌声聞こえないか？｣
雪奈｢歌声？｣

私達は耳を澄ましてみる
すると

｢～♪｣

微かだが透き通った声が耳に入った
もしかしたら・・・

千歳｢誰が歌ってんだ？｣
千耶｢行ってみる価値はあるな｣

歌声につられて獣道を辿った
やがて、道から出ると

千歳｢お、おい待て！｣

不意に千歳は私達を止める

千耶｢今度は何だ？・・・あれは｣

千耶は目を張る
目の前には茶色の髪を一つに結い、気持ちよく歌っている少女がいたからだ
彼女の歌声は私達の耳を魅了するほど、とても澄んでいて伸び伸びとしていた

千耶｢あれが例の【絢華】っていう者か？｣
雪奈｢はい。間違いなく｣
千歳｢そうかそうか。だったら・・・｣

すると千歳は片手に鞘に納められている刀を手にしながら立ち上がった

雪奈｢千歳、何するつもりなんですか？！｣
千歳｢決まってるだろ。お前がさっきやった腕試しだよ｣

当たり前のように言っているようだが何だか嫌な予感がした

雪奈｢それはやめといた方がいいと思います！｣

私は必死で止めるが・・・

千歳｢大丈夫だ。手加減はちゃんとするからよ！｣

千歳は私の言葉に耳を傾けずズカズカと茂みから出ていった

千耶｢どうして必死に止めるんだ？相手は所詮、女子だろ？｣
雪奈｢いえ、女子だからこそ危ないんです。絢華は・・・｣

もう止めても手遅れだったので私と千耶は千歳の様子を後ろで傍観した