【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ14)

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第十一話ページ14

雪奈side

千歳｢おい待て、雪奈！｣

急に千歳は私を呼び止めた

雪奈｢何ですか？｣
千歳｢俺たちも一緒に行っていいか？｣
雪奈｢え？｣

私は目を丸くした

雪奈｢な、何故でしょうか？｣
千歳｢俺と千耶と剣の腕が互角な奴がいるんだろ？｣
千耶｢その者に会ってみたくなってな｣

よほど彼女に興味を示しているのか言葉ですぐに分かった

千耶｢他の頭領達は、もう揃っているのか？｣

千耶は琴爺に尋ねた

琴浦爺｢来ておるぞよ。四国の一族の頭領は、まだ到着しておらんようじゃがのう。他の皆・・・汐見や千岳や秦は、とっくに着いて中でおぬし達を待ってるぞい｣
千歳｢げっ！千岳の野郎も来てんのかよ。来たばっかりだけど俺もう帰りたくなってきたな・・・｣

千歳は苦い顔をする
千岳さんという方と何かあったのだろう

月島爺｢何を言っておる。挨拶もせんで帰るやつがおるか｣

月爺は一喝する

雪奈｢あの・・・一緒に行くのなら急いでください｣

私が声をかけると千歳達はこっちを向いた

千歳｢ああ、分かってる。じゃ、遅くなるって皆に伝えといてくれ！｣
千耶｢お前はすぐに先陣を執るな｣

千耶は小さく呟く

月島爺｢早く戻ってこいよ｣
琴浦爺｢気をつけてな｣

二人はわたし達の背中を見送った

※

絢華がいる水源は八瀬の里から近いところにある
水源までは獣道が続いていて近いといっても結構歩く距離だった

千歳｢なあ、雪奈｣
雪奈｢何ですか？｣
千歳｢その【絢華】っていう奴、どんな奴だ？｣

千歳は私に絢華のことを訊いてきた

雪奈｢私の妹みたいな方です｣
千歳｢それだけじゃ分からねえよ。もっと具体的に言ってくれねえとこっちも理解できねえ｣

具体的にと言われても、と私は彼の言葉に困った

雪奈｢詳しく言えば、表情に裏表がなく明るい方です。これで分かりますか？｣
千歳｢あ、ああ。明るい方ねえ・・・｣

千歳は微妙な顔をする

千耶｢剣の腕についてはどのくらいの力だ？｣

今度は千耶が尋ねてくる
やはり千耶は彼女の剣の腕にしか興味がないようだった

雪奈｢私よりもかなり実力があります。初めて会った時なんか手が上がらないほどでしたから｣
千耶｢なるほど、お前より実力があるのなら今度手合わせをしたいものだ｣

女子相手でも容赦なさそうだと私は彼を見て思った