【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ12)

今日:11 hit、昨日:4 hit、合計:36,234 hit

第九話ページ12

雪奈side

琴爺がそう呟いた時、空から銀狼が羽音を立てながら降りてきた
琴爺は慣れた様子で左の拳を突き出し、腕に据えさせる

琴浦爺｢ん？何じゃ、銀狼｣

すると銀狼は、まるで爺様の問いかけに応えるように鳴き声を上げる
銀狼はもともと、琴爺に飼われていた鷹で・・・
私が涼森家の頭領になった時、【友達がおらぬのは寂しかろう】といわれ、譲ってもらった

琴浦爺｢なになに？【そんなことはない、まだまだ若い】じゃと？ありがたい事を言ってくれるのう｣

銀狼はまたひと鳴きした

千歳｢おいおい、鳥にそんなこと分かるわけ無いだろ｣

すると銀狼は琴爺の腕から羽ばたき、鋭いくちばしで千歳の頭を突く

千歳｢ちょっ、おい！何するんだ！｣

千歳が手で遮ろうとする前に銀狼は既に上空に身を舞わせてしまっている

琴浦爺｢馬鹿にするな、と言っておったぞ｣
千歳｢勝手に通訳するなって。鳥の言葉なんて分かるわけ無いだろ｣
琴浦爺｢いや、そんな事はありゃせんぞい。動物とも、心を通わせる事はできるものじゃよ｣
雪奈｢私もそう思います。銀狼とは子供の頃からの付き合いですけど・・・何となくですけど、言葉が通じてると思えるときがありますから｣

鳴き声で銀狼の言葉が分かる気がする
だからこうやって警告とかしてくれるから

琴浦爺｢そうじゃそうじゃ。お嬢は素直じゃのう｣
千耶｢まあ、素直であるのは確かだが｣
千歳｢雪奈、お前少しは相手の言葉を疑うって事を覚えた方がいいぞ｣
雪奈｢それは一体、どういう意味ですか？｣

そう尋ねた時だった

琴浦爺｢ところで、お嬢。結界の様子はどうだったのじゃ？｣

不意に真剣な表情になった琴爺に尋ねられ、私も姿勢を正す

雪奈｢いつもと変わりませんでしたけど・・・人里の方から、不穏な気配を感じました。銀狼も同じ事を感じていたみたいです｣
琴浦爺｢ふうむ・・・やはりか｣
雪奈｢【やはり】というのは？何か思い当たる事でもあるのですか？｣

私は尋ねると琴爺は首を横に振った

琴浦爺｢いや、直接関係があるのかはわからんじゃが、ワシもここに来る途中、大阪にどこぞの国の兵が集まっておるという噂を耳にしたものでの｣
雪奈｢大阪に兵が？それは一体ーー｣
？｢そのような事、お嬢が気にする必要などないわい｣

厳しい表情のお爺さんがやってくる