兎と仔犬 (ページ8)

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JK「はぁ？」

「いつまでくよくよしてるんですか？見ててテンション下がる。そうやって不貞腐れてる暇があったら練習すれば？」

JK「お前に俺の気持ちがわかるわけないだろ！」

「わかるから言ってんの！どんだけ私が女だからって言われてきたと思ってんの…みんなに着いてくのに必死なんだよ。あれくらい言われたくらいでしょぼくれんな。あなたはダンスも歌もできるんだから。練習するしかないんだって」

ガツンと頭を殴られた気がした。

Aは元々才能があって、努力なんて無縁だって勝手に思ってた。

スカウトされたくらいだから、先生方からもチヤホヤされてきたって。

「ほら、早く準備しなよ。一緒にやろ」

JK「なんで…」

「言っとくけど、今はダンス私の方が上だから」

Aのこの一言でスイッチが入って、それから何時間も2人で踊った。

「もう無理」

JK「もう？まだまだイケるだろ」

「ねぇ、知ってた？私女の子」

JK「ごめん、知らなかったわ」

「うわームカつく！でも…やっぱりジョングクのダンスには敵わないな…悔しいけど」

今までそんなこと思ってる素ぶり一切見せなかったのに…

JK「それ本気で思ってる？」

「本気だけど？ジョングクはちょっと手直ししたらすぐ上手くなるし、キレが良いし。負けたくないなっていつも思う」

Aは俺のことなんて無関心だと思ってた。

JK「俺もAに嫉妬してた。軽々踊れちゃうから。」

「それは私を知らないからだよ。めっちゃ練習してるから。皆んなの倍練習しなきゃ…」

まだ息が上がった状態のA。こういう所を見ると、やっぱり女の子なんだなと思う。

JK「Aって凄いな」

「なに、いきなり。でも、ありがとう」

JK「なぁ、お腹空かない？屋台寄って帰ろううぜ」

「いいね！」

今まで口も聞かなかったなんて信じられないくらい、あの日から距離が縮まった。

いつのまにか、タメ口で話しているし。

Aはライバルであり同士。

「グク、ちょっと、ジョングク！！おーい！」

JK「うわっ、なに」

「何って、さっきから呼んでるのに返事しないから。ねぇ、このお菓子めっちゃ美味しいよ」

幸せそうにお菓子を口に入れるA。

この笑顔、最高なんだよな…

そんなAが傷つかないように、守っていかなきゃいけない。

そう決心したのもあの時。