兎と仔犬 (ページ35)

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あの後すぐにスタッフさんがやってきて、ソナヌナを「話がある」と連れ出した。

たぶん、ヒョン達が練習生担当のスタッフに知らせてくれたんだろう。

そして、宿舎に帰ってきてから真っ先に向かったのはAの部屋。

JK「A、入っていい？」

「うん。お帰り！」

JK「ただいま。なに？それ」

「この前撮った練習動画。1ヶ月はまともに身体動かせられないから、動画見て少しでも皆んなに追いつけるようにしないと…」

JK「1ヶ月も…」

「でも、その間ボイトレに集中できるってことだよね？ジョングクより上手くなってみせるから！」

そう何もなかったように笑うAに、胸がさらに苦しくなる。

本当は踊りたくて仕方がないくせに…

全部、俺のせいだ。

「………なんでジョングクが泣くの～」

Aを信じられなかったことが悔しくて仕方がない。

JK「Aごめん。こうなったのは、俺のせいだ。俺はソナヌナの話ばっかり聞いて、お前のこと無視した。信じなかった」

「………ほんと、そうだよ。屋台行こうって誘っても断るし。素っ気ないしさーまじで辛かった」

JK「ごめんっ」

「うそうそ(笑)男の中に女の私が1人入って、こういうことになるのわかってたし。怪我したのは、半分自分のせいだから」

JK「いや、でも…」

「じゃあ何してくれる？うーん…あ、今度またご飯食べに行ったら全部ジョングクの奢りね」

「はははっ！！」と、大口を開けて笑うA。

ほんと、こいつは………

ふと、Aの言葉をもう一度頭の中で考える。

これから先、Aの事を妬むやつが出てくるかもしれない。
ソナヌナみたく、友達たちになろうと近づいて嫌がらせをするやつがいるかもしれない………

JK「俺が…俺が守る」

「なにを？」

JK「Aが2度と、こんな辛い思いをしないように。俺が守るよ」

目を大きく見開いたAは、顔を真っ赤にさせて肩を殴ってきた。

本当に怪我人が？

JK「あ、これ」

「…もう返ってこないかと思った…」

Aと初めて会った時から肌身離さず着けていたブレスレット。

ソナヌナは幸いにも、ちゃんと持っていた。

腕につけてやると、みるみるうちにAの目に涙が溜まっていく。

Aを抱きしめながら、もう一度言った。

JK「絶対守るから」

この時、決めたんだ。