兎と仔犬 (ページ22)

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JK side

練習が終わってしばらく経つのに、Aは練習室を出て行ったっきり帰ってこない。

事務所から出たなんてことはあり得ないけど。

何してんだか…

マネ「お疲れ～帰るぞ」

V「あれ？Aは？」

マネ「シャワー浴びてから帰るってさ。時間かかるから、先帰っててだって」

JM「え～待ってるのに」

頭に浮かぶのは先ほどの出来事。

JK「俺待ってます」

SG「たまには1人にしてやれ。きっとAも頭の整理してるんだろ」

JK「……っ」

ユンギヒョンの言葉に何も言い返せない。

SG「あの根性なら大丈夫だって」

そう言ってユンギヒョンは「行くぞ」と肩をポンと叩いた。

宿舎に帰ってから1時間が経った頃、Aにメッセージを送ってみたけどいつまで経っても既読はつかない。

まじで何してんの…

ふと練習中に振付師のヒョンがAに対して言った嫌味を思い出す。

俺たちも頭にきたぐらいだから、本人はもっと腹が立っただろう。

「大丈夫」なんて言ってたけど、嘘だな。

俺の顔見なかった。嘘をつくのが下手なAの癖だ。

Aのことだから、また無理して練習してるんだろ。

時計を見ると日付はとっくに変わっている。

迎えに行きますか…

事務所に着いて練習室のある階に向かうと、やっぱり一部屋だけ光が付いていた。

半分呆れてドアを開けると、文字通り一心不乱に踊るA。

「うわっ？びっくりした…どうしたの？」

JK「Aがいつまで経っても帰ってこないから迎えに来たんだよ。カトクの既読もつかないし」

「あーごめんごめん！携帯見てなかった」

明るく振舞ってるけど、俺にはお見通しだ。

JK「A。お願いだから、無理しないで。あんな奴の嫌味で、お前が壊れたら…それこそ意味ないじゃん」

やっぱり俺の言ったことが的中したのか、表情がどんどん曇っていく。

JK「ほら」

両手を広げると素直にすぽっと入ってくるA。
俺の胸に頭をつけると下を向いて「うー悔しい」と言い出した。

JK「いやーあのヒョンぶん殴りたい」

「うわ、私も今それ思ってた(笑)」

JK「お前の考えてることはお見通しです。双子なんだから」

「そっか(笑)」

痛みも悔しさも、全部俺に分けてよ。