兎と仔犬 (ページ12)

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「今日はつまらない」そう思っていたけど、結局最後には映画に釘付けになってしまった。

「はぁ～面白かった…良かったね、最後は2人が幸せになって…」

幸せそうな顔をしているAに、ふと思った。

『Aって恋愛したことあるのかな？』

日本にいたのは中学までだ。

少なくとも俺たちに合流した時は、Aの浮いた話なんて聞いたことはなかった。

Aとは「男友達」のような感じで、デビューしてからそんな話をしたこともなかった。

JK「Aって彼氏いたことある？」

「彼氏？あー…日本にいた頃はね」

JK「え？」

「聞いといてその反応はなに(笑)中3年の時だったかな…こっち来てからもしばらく続いてたんだけど、練習でいっぱいいっぱいで私も小まめに連絡しなくなって…別れちゃった。」

JK「知らなかった…」

「たいした話じゃないから。あ、ココア飲む？」

JK「いらない」

「そう？」

人間なんだから人を好きになって当たり前だ。
でも、なんだかモヤモヤする。

「付き合ったことはない」と言う答えを望んでいたのか。
練習生だった頃のAを全て知っているつもりでいたのか。

「ねぇ、なんで機嫌悪くなるの？グクだって付き合ったことあるでしょ」

JK「別に機嫌悪くなってないし…」

と言いつつも、なんだかAの顔をちゃんと見れなくて足早にAの家を後にした。

このモヤモヤの意味がよくわからないけど、兎に角良い気分ではない。

V「あれ、またAと喧嘩した？」

JK「いや、違うけど…」

モヤモヤを少しでも消し去りたくて、テヒョニヒョンに相談してみた。

V「あれ、お前知らなかったの？Aから聞いてると思った」

JK「ヒョンは知ってた？」

V「うん。話は聞いてた。遠距離になって悩んでたし…別れた時も荒れてたろ」

そういえば急にご飯を食べたがらなくなって、皆んなが心配していたことがあったっけ。
めったに涙を流さないAが、練習室で1人泣いてるのを見たこともあった。

勝手にホームシックになったんだろうって思ってたけど、付き合ってた人と上手くいってなかったからだったんだ…

何も知らなかった。

V「悪い人じゃないと思うよ？デビュー決まった時もお祝いしてくれたってA喜んでたし。おーい、聞いてる？」

聞こえてる。でも、俺の脳は考える事を拒否しているみたいだ。

あ、モヤモヤ…また増えた。