周りの身にもなってください ページ43
明らかにサイズが大きいジャージをきてデレデレとしている目の前の友人を見て、ひとつため息をつく。
「……ちゃん、今度はジャージ忘れたの？」
「えへへ、やだなあ大ちゃん。忘れ物常習犯みたいに言わないでよ。」
もー、と言いながら俺のことをぺしぺしと叩くちゃんは全く怒っていなくて、むしろルンルンだ。
「ね、大ちゃん、なんかこのジャージ着てたら俺が�睫擇砲覆辰燭澆燭い世諭�結婚したみたいで恥ずかしい！」
きゃっきゃとテンションが高いちゃんは俺の耳元でこそこそっとそんなことを言ってくる。
はあ……何が恥ずかしいだよ、そうしたくてわざと忘れて借りてきたくせにさ。
そう。もうお分かりだと思うけど、ちゃんは�睫擇里海箸�大好きで、話すきっかけを得るためだけによく色々なものを忘れたフリをしてわざわざ3つ離れたクラスにいる�睫擇泙納擇蠅帽圓�のだ。
いつもは大体教科書だから、ジャージは初めてだな。でもこんなに嬉しそうだからまた何週間後かにやるな、これ。
こんなにわかりやすい行動をしているというのに、2人は別に付き合っているわけではない。ちゃんの片思いだ。
……いや、ちょっと語弊がある。
�睫擇呂泙昔�心には自覚していないものの、確実にちゃんのことが気になっている。
元々誰に対しても優しい�睫擇世�、ちゃんに対しては明らかに俺らとは違う扱いをする。寒そうにしていたら上着をかけてあげるし、マフラーだって巻いてあげる。自販機でちゃんの分まで飲み物を買ってきてあげる上に、ペットボトルの蓋を緩めてから渡す。
何よりちゃんを見る目が完全に愛おしいものを見る目になっているのだ。
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