混ぜたらなにいろ？ (×in) (ページ27)

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初めて異変を感じたのは、彼氏の存在を打ち明けられてから2ヶ月ほど経った頃だった。

「えっ、伊野尾くん髪……。」

「うん……、染めてみた。どうかな？」

「すっごく似合ってるけど……急にどうしたの？伊野尾くんずっと染めたことなかったじゃん。」

いつも通りに講義が始まる10分前に俺の隣に座った伊野尾くんは、髪の毛を明るい栗色に染めていた。
ついこの間まで俺の茶髪を触りながら、痛んだり手入れしたりめんどくさそうだから一生染めなくていいかなと言っていたのに。

「アイツが茶髪見てみたいって言うから……。」

「そうなんだ……。でもほんと似合ってるよ。」

驚きはしたものの明るくなった髪色は垢抜けて見えて、伊野尾くんのかわいらしさをより引き立たせていた。
伊野尾くんの髪に手ぐしを通してみると、猫みたいに目を細めて照れくさそうに笑っていた。

それからというもの、だんだんと伊野尾くんは伊野尾くんらしくなくなっていった。

めんどくさがりで寝癖がついたまま大学に来ることもザラだったのに、最近ではいつもふわふわと巻いてセットされている。

今までアクセサリーなんてしているところを見たことがなかったのに、シルバーのネックレスを常につけているようになった。

服に興味なんてなかったはずなのに、ブランドのだぼっとしたかわいらしいパーカーやロンＴを着てくるようになった。

それらは確かに伊野尾くんによく似合っていて、前よりかわいさが増した伊野尾くんは大学でもよく声をかけられるようになっていた。

たしかに染められたマッシュの髪もオーバーサイズの服もかわいいけど、俺は黒髪で見た目に無頓着な頃から伊野尾くんのことかわいいと思ってたんだけどな。

男女関係なく告白を断る伊野尾くんは、特に恋人がいる様子も見せないことからいつしか高嶺の花と謳われるようになっていた。