21 ページ21
．
『＿＿＿＿＿む、無理です』
時「だめ」
『っ、私なんかが、柱である時透様の事を名前で呼ぶなんて恐れ多いです』
時「…階級関係ある？それに僕が名前で呼んでって言ってるんだから」
『っ〜〜』
何を言っても時透様はなかなか折れてくれない
そんな事を言われてしまったら、なんて言い返せばいいの？
狡い、本当にこの人は狡すぎる
時「…まだ？」
『っ…』
時「A」
『っ、む、無一郎…様…』
急かされた私は、今にも消え入りそうな声で彼の名前を呼んだ
時「…様付けは消えないんだね」
『あ、当たり前です』
時「うーん、…まぁ今はいいや」
『今はって…』
時透様は時々とんでもない事を言い出すから本当に心臓が持たない
何を考えているのだろう、
私のことをどう思っているのだろう、
一緒にいる時間が増えれば増えるほど分からなくなる
時「…蝶屋敷着いちゃったね」
『……無一郎様は、誰にでもこういう事をなさるのですか…？』
こちらを向いて口を開いた時透様にそんな疑問をぶつける
自惚れたくないのだ
時透様の発言、行動全てが、
全部、私だけにしてくれるものだと、少し期待してしまっている自分がいて
違うのならいっその事、ここではっきり言って欲しいというのが本音だった
時「こういう事って？」
『っ、手を繋いだり、簪をくださったり……名前で呼ぶ事をお許しして下さったり、……
だめですよ、勘違いしちゃいますから、』
分かっている、
私は貴方の特別では無い
彼は優しいのだ
多分、私が想いを寄せているのも察していると思う
だからこそこんなに優しくしてくれているのだろう
十分幸せだ、
今までは、ただ貴方との距離を少しでも縮めたくて
貴方の役に立てるような隊士になりたくて、ただただ鍛錬を重ねて
運が良ければ、彼の姿を見ることができる、そんな日常だった
その私が、一緒に甘味処に行って、あんみつを食べて、簪を頂いて、＿名前を呼ばせて頂いて、
もう、これ以上求める事なんてない
だから、もう
欲張りになってしまっている私の目を覚まして欲しい
．
時「Aこそ」
『、？』
．
時「やめた方がいいよ、誰にでもあの笑顔見せるの
だから変な男が寄ってくるんだよ」
『…え…』
．
時「……それに
．
誰にでもしてるわけじゃないよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 551人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むいむい - こちらの続編、素直になれないにも程があるが読めません。 (4月10日 14時) (
レス) id: 5e364bf0e0 (このIDを非表示/違反報告)
三月の専属ストーカーなつめみく - うあ、すきだぁ…。むねがきゅってなった…！ (10月20日 16時) (レス) @page50 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - お疲れ様でした！！！完結してしまうのは寂しいですが新作も楽しみにしております！！絶対見ます！！！ (7月22日 20時) (レス) @page49 id: e6271faca4 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - お疲れ様でした！更新されるのが毎回楽しみで完結しちゃうのがすごく寂しいです😭このお話が大好きです！新作楽しみにしてます☺️ (7月22日 16時) (レス) id: 2d55ef8bd0 (このIDを非表示/違反報告)
koto。。。(プロフ) - お疲れ様です！完結しちゃったのは寂しい部分もありますが、凄く面白かったです！良かったらですけど、番外編？みたいなのを作ってほしいです！最後までドキドキしました！😍 (7月22日 16時) (レス) @page49 id: a5fd6f2b2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：悠乃 | 作成日時：2023年6月4日 23時
