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時「着いたね」
『…はい』
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時透様の隣に堂々と立てる、立派な隊士になるまでは
いくら自分が慕っているとしても、絶対に欲張りにはなってはいけない、彼に近づいていい立場ではないから
そう思って、今まで遠くから姿を見るだけで良かった。
主に任務の帰りや蝶屋敷で
時透様を見つける事ができた時は
しのぶ様や蜜璃様にもたくさん自慢して。
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それだけで、本当に十分幸せだったのだ。
それなのに
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__帰りたくない。
こうやって2人きりで話す機会はもうしばらく無いかもしれない。
彼にとって私は、あくまで同じ鬼殺隊の一人であって、次会った時には私の事など覚えていないかもしれない。
そう考えれば考えるほど、寂しくて仕方がない。
どんどん欲張りになってしまう自分が嫌になりそうだ。
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時「…落ち込みすぎ」
『っえ』
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少し俯いている私の顔を、時透様が覗き込みながらそう言う。
そんなに顔に出ていたのかと、少し焦る私を見て、
優しく微笑み、そして
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時「またすぐ会いに来るから」
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___そう、言ったのだ。
『…え、』
頭が追いつかない。
今、聞こえた言葉は幻聴だろうか。
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時「あんみつ、好きなんでしょ」
______『時透様はふろふき大根がお好きなんですね!』
______時「…うん、好きだよ。Aはなにか好きなものとかあるの?」
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______『私はあんみつが大好きです!!』
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蝶屋敷に着くまでの会話を思い出す。
私の好物など興味は無いだろうから、すぐ忘れているだろうと、そう思っていた。
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それは、
それって、つまり
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『…一緒に行ってくださるのですか…?甘味処…』
時「…そのつもりだったんだけど…嫌?」
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そう微笑みながら聞いてくる彼は
嫌なはずがないという事を分かりきっているようで
本当に、この人には心を乱されてばかりだ。
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もう後には引けないくらい、
彼への気持ちは強くなるばかりだった
『っ…行きたいです、時透様と、甘味処に行きたいですっ……』
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時「…じゃあ、楽しみにしてる」
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もう自分では、どうする事もできないほどに。
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むいむい - こちらの続編、素直になれないにも程があるが読めません。 (4月10日 14時) (レス) id: 5e364bf0e0 (このIDを非表示/違反報告)
三月の専属ストーカーなつめみく - うあ、すきだぁ…。むねがきゅってなった…! (10月20日 16時) (レス) @page50 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - お疲れ様でした!!!完結してしまうのは寂しいですが新作も楽しみにしております!!絶対見ます!!! (7月22日 20時) (レス) @page49 id: e6271faca4 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - お疲れ様でした!更新されるのが毎回楽しみで完結しちゃうのがすごく寂しいです😭このお話が大好きです!新作楽しみにしてます☺️ (7月22日 16時) (レス) id: 2d55ef8bd0 (このIDを非表示/違反報告)
koto。。。(プロフ) - お疲れ様です!完結しちゃったのは寂しい部分もありますが、凄く面白かったです!良かったらですけど、番外編?みたいなのを作ってほしいです!最後までドキドキしました!😍 (7月22日 16時) (レス) @page49 id: a5fd6f2b2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠乃 | 作成日時:2023年6月4日 23時