メイクちゃんは元練習生

　 ページ13

Aside


2016年になり、左耳の聴力はほとんど聞こえなくなった


補聴器があればまだ聞き取りやすい感じで


全く聞こえないよりは良いのかもしれないけど


ダンスの時には落ちてしまうかもしれないから補聴器を取らなきゃで


右耳しか聞こえない、かすかに左からも聞こえる気はするけど


歪んで聞こえるのは致命的で、動作を合わせたりすることが難しくなった


何度も先生や事務所のスタッフ、家族と話し合って


高校を卒業すると同時に事務所を辞める決断をした


あと2ヶ月、夢に向かって頑張るみんなを近くで見ていたい


もう少しだけここにいて、みんなの輝く姿を見ていたいなんて自己満足


何も言わずにそっと消えていくから、どうかみんな元気で夢を掴んでほしい


そう願って、卒業式の前日に仲の良い練習生に当てて手紙をロッカーに入れた


練習生を辞める決断をした一方で私に転機が訪れた


そう、メイクアップアーティストになるという夢ができたのだ


きっかけがショーケースで友達にメイクをしていた


Aがメイクしてくれるとめっちゃ綺麗で自信がもてるの


いつもより輝いて見えるから、お願いと言って頼まれることが増えた


そんな時、今の師匠である李さんが私に話しかけてきたのだ

転機は突然に→←　

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す