メイクちゃんは元練習生 (ページ12)

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BC side

事務所に入ってもうすぐで5年になる

周りにいた仲の良い練習生達がどんどんデビューしていくなか

取り残されていく自分に嫌気がさしたし、未来は真っ暗だった

『クリス、どうしたの？』

俺のことを唯一英語名で呼ぶのは、Aことアリスしかない

そして、練習生として入所したのも同時期で

異性同士ではあるけど親友みたいな大切な仲間の1人である

深夜までよくダンスを練習したり、作った曲を聴いてもらっていた

彼女の感性は良くも悪くも鋭い、先進的なのに馴染む

2人でいる時は英語で話すから、いい意味で気を使わないし

「何にもないよ」

『っていう時ほどなんかあるよね？』とちょっと微笑んでこっちを見る

そんな言葉を聞いて何も返せなくなる

『大丈夫、クリスには絶対ね、最強で最高の仲間が見つかるの

それで世界中いろんなところにコンサートにも行って、ファンに囲まれるの』

普段、絶対にとか使わないアリスが使っていることにも驚く

『だから、もう少し一緒に練習生してよ？』

そう言って座り込んでる俺に手を差し伸べてくるから手を取る

手を引く力が思ったよりも弱くて俺の方に飛んでくる

危ない、と思いつつ思わずハグしてしまった

彼女が背中をぽんぽんしてくれてすごく安心したことを覚えている