君の声【２】

58話 ページ10

『わたし、結弦くんが好きなの？ だって１週間ぐらいしか一緒に過ごしてないんだよ？』

「そんなの関係ない思うけど。話してて楽しいとかドキドキしたとかないの？」

『あった』

「クラスの男の子にそういう気持ちにならないでしょ？」

結弦くんと話してると楽しかった事を思い出す
今だって結弦くんの事を思い出すだけでドキドキしてくる

そっか…、いつの間にか結弦くんが好きになってたんだ
だから知らない女の子といるのが嫌で胸が痛くなったんだ

『葵の言うとおり、結弦くんが好きみたい。でもいきなり告白とか無理だよね？』

「今はシーズン中だし全日本の成績にもよるけど来年の3月末まで試合あるからね」

『だよね。邪魔したくないからLINEもわたしからはしないし、せっかく好きって気づいたのに会えないとか辛いんだけど』

「シーズン終わってもここと仙台じゃなかなか会えないね」

『でも葵のおかげでスッキリした。ありがとね』

「いーえ。これからはテレビでちゃんと試合見なよ、教えてあげるから」

結弦くんは今やるべき事をやってるんだから、わたしも今は歌に専念しないと


12月に入り社長からデビュー日と芸名を告げられた
2012年3月25日 わたしの17歳の誕生日
そして【MARIA】がこの世界に生まれる日

頂いた曲は応援ソングなので4月から新生活を迎える人の力になればいいなと思う



クリスマスに結弦くんの今年最後の試合となる全日本があった
ここで表彰台に上がれば来年の四体陸選手権や世界選手権へ出場できる

国内には高橋大輔さんを始め、たくさんの強力なライバルがいる
その中で結弦くんは見事3位で世界選手権への切符を手に入れた

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