君の声【２】

87話 ページ39

イヤホンを付け準備が整ったらお願いしますと声をかけ曲が流れるのを待つ
当日は会場にいる人全員に楽しんでもらいたいから、わたしも楽しい気持ちで歌い出す

歌い終わりスタッフさんと少し確認してからもう1度曲をかけてもらった
レコーディングと違って広い会場だから、さっきよりも抑揚をつけてみることにした
うん、こっちのがいいかも

最後まで楽しく歌いきると拍手が少し聞こえたのでありがとうございましたとお礼を言ってステージを降りる
飛鳥さんと話しながら楽屋へ向かう

「マスコミいなくなったから今のうち帰るよ。車回してくるから用意しといて」

荷物を片づけていると飛鳥さんから電話がかかってきた

「A、ファンが出待ちし始めてる。たいした人数じゃないけど手荒にはできないから(笑) 帰りはみんなとバスで戻って。変装忘れないでね」

ファンの出待ちまでは予想してなかったなぁ
練習終わるまで2時間
１人は寂しいのでリンクへ行くことにした


―――――――――――――――――――――――――――――
「A、そろそろ寝よ」

明日はいよいよアイスショーなんだけど…
結弦は初日からずっと夜はわたしの部屋にいる
ただくっついて寝るだけなんだけど、疲れは取れてるのかな

『部屋で1人で寝た方がいいんじゃないの？』

「Aはおれと寝るのイヤ？」

『ううん、イヤじゃない。ただ疲れ取れるのかなと思っただけ』

「気にしてくれてありがと。でもさAと一緒だとぐっすり寝れるんだよね。だからあんまり疲れとか感じないかな」

そういえばわたしもよく眠れてるのか目覚めがいい
ベッドにはいりおやすみのキスをして目を閉じれば暖かさと安心感ですぐに睡魔がやってくる
結弦の声が聞こえるけど、それも夢の中へと誘う

「明日はくっついて寝るだけじゃすまないからね」

88話→←86話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す