君の声【２】

59話 ページ11

学生の間は姿を見せないのでジャケットに載せる写真撮影やPVも撮らないから歌に専念できたはずなのに、レコーディングは新年が明けてからようやく納得いくものができた

もう少し早く自分の物にしないと、将来的にTVに出て披露するとき自分が苦しくなるぞと社長に言われた

確かにCD出して終わりじゃないもんね
歌番組に出たりライブをやるようになればいつでも歌えるようにしとかないといけない
次はもう少し追い込んでいかなきゃ


3月に入ったところで結弦くんからLINEがきた

結弦世界選手権見てくれる?
A友達と一緒に見る約束してる
結弦友達って女の子?
Aそうだよ。フィギュア大好きだから隣で解説してもらうの
結弦そっかぁ。あのさ世界選手権終わったら会えないかな?
Aいいよ。でもどこで会うの?
結弦東京に行く予定があるからその時でいいかな?
Aわかった〜。世界選手権もだけど練習も頑張ってね
結弦ありがとう。また連絡する

まさか結弦くんから誘われると思わなかった
自分勝手だけどデート気分を味わってもいいかな


そして3月25日、葵とCDショップへ行き、【MARIA】のCDを探した

「A、あった、あったよ!!」

葵の指差す先に事前にもらっていた物と同じCDが並んでた
もらった時はまだ夢のようだったけど、こうして並んでいるとデビューした実感がわいてくる

『夢じゃなかった…』

「もう今さらなに言ってんの(笑) わたし買ってくるから待ってて」

『えっ、買うの？』

「ファン第1号ですから(笑)」

『ありがとう』

1人になって売り場をもう1度眺めてから、スマホで写真を撮る
ここが【MARIA】のスタート
これからもっと頑張っていつかお店の1番目立つ場所に置いてもらうんだ
そう決意して葵のもとへ向かった

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