君の声【２】

51話 ページ3

夏休みも終わり始業式を迎えた
久しぶりの教室でわたしと葵を含む仲良し４人組で夏休み中の出来事を話す
アイスショーの事は話すつもりはなかったんだけど、何かで放送日を知った葵が話してしまった

「A、今週の土曜日にこないだのアイスショー放送されるんだってね？」

『ちょっと、葵!?』

「なに、なんの話？」

「実はAがさぁ、…………」

あぁ、話しちゃったよ
みんなして絶対見るからねって…
よろしくってだけ返事しといた

始業式だけだし午前中で学校は終わったので午後は事務所へ行った
なんだか今日はものすごい忙しそうだ
すれ違った人に聞いてみる

『こんにちは、何かあったんですか？』

「あっ、Aちゃん。ちょっと急ピッチの仕事がはいってね。社員総出でやってるよ。じゃ、またね」

この事務所は小さいので従業員は30人ほどしかいない
全員で動くとなればかなりの大仕事なんだろう
わたしが手伝ったら迷惑になりそうなのでボイトレ室へ向かった

アイスショーの放送は家族揃って見た
MCの声が流れるとあの時のワクワクを思い出す
観客から見るとこんな風に見えるんだ

あの時モニター越しに見たみんなの演技は全身が映る映像だったけど、今日はきちんと編集されてるので表情までよく見ることができた

いよいよプルシェンコさんとのコラボが始まった
プルシェンコさんとわたしだけなのでオープニングの群舞よりたくさん映ってる
結構顔がアップで映る事もあったので、プロのヘアメイクさんにしてもらっといてよかったかも

フィナーレも飾ったので番組は終了かと思えば、アイスショー開演前のバックステージの様子が流れてた
この時みんなたくさん写真撮ってたなぁ〜と思ってたら、佳菜子とノブくんの変顔が映り戸惑ってるわたしと呆れてる結弦くんまで一緒に映ってしまった

そのあとも円陣を組んだところ、出番を控えてるスケーターがモニターを見てる姿なども映し出された

アイスショー終了後の様子も流れてスケーターもアーティストもねぎらいの言葉をかけたり、ハグしてる
佳菜子・ノブくん・結弦くんとハグしてプルシェンコさんに連れてかれるわたしが映ってた

もちろんそのあとは例のインタビューがある
思わず泣いちゃってテンパってたからなんて答えたかよく覚えていない
失礼な事は言ってなかったみたいで安心した

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