君の声【１】 (ページ49)

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48話ページ49

わたしも一人一人とハグをしていく
この１週間でずいぶん海外流スキンシップになれたなぁと思う

『佳菜子!! お疲れさま～!!』

「Aもお疲れさま!!」

思いっきり抱きついた

『ノブくんお疲れさまです』

「Aちゃんもお疲れさま。えっ、おれもハグしてええの？」

『一緒にアイスショーやった仲間なんで今日は大丈夫です(笑)』

「今日はって(笑)」

ノブくんらしい優しいハグだった

『結弦くん、お疲れさま』

「Aちゃん、お疲れさま」

ハグしながら後頭部をぽんぽんされたので、お返しに背中をぽんぽんしてみた

と、そこへプルシェンコさん登場
右手を掴まれどこかへ連れられていく
辿り着いたのはインタビュースペースだった
カメラもスタンバイされてる

慌てて通訳さんを通して手を離してほしいと伝えても離されるどころか肩を組まれプルシェンコさんの隣に立たされる
インタビューがすぐに始まった

「今回のプログラムはピアノとのコラボでしたが、いかがでしたか？」

質問の内容にドキリとした
英訳された質問を聞き、少し考えてからプルシェンコさんは話し始めた

「とてもよかったよ。Aのピアノに合わせて滑るのは楽しかった。今だから話すけど彼女には昨日のリハーサルで少し問題があってね、技術的な事じゃなく気持ちの方が。でも一晩で自分なりの答えを見つけて、今日は素晴らしいプログラムにしてくれた。彼女とできて本当に楽しかった」

プルシェンコさんの言葉を聞いて、カメラの前ということも忘れて泣いてしまった
プルシェンコさんは泣いているわたしに気づいて涙を拭ってくれた
わたしにも質問がされた

「貴女は今回のコラボについてどうでしたか？」

『わたしはこんなにたくさんの人の前で弾くのは初めてで緊張してたんですけど、終わってみればものすごく楽しかったです。

練習の間、迷惑かけないように、失敗しないようにって考えてました。でもそれだけじゃ見てくださる人に何も伝えられない事に気づかされました。

なのでわたし自身楽しく弾けば見てる人ももっと楽しめるかもと思い、今日は笑顔で弾くことを心がけました。その結果プルシェンコさんに楽しかったと言われてとても嬉しいです。

わたしに足りないものを気づかせてくれたプルシェンコさんと、答えを見つける手助けをしてくれた人には感謝の言葉以外ないです』

「アリガトウ」

『СПАСИБО(スパシーバ)』

最後にわたしたちはお互いの母国語で感謝を示した