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45話 ページ46

朝食も食べずに会場にきてピアノの前に座る
鍵盤に指をのせるけど弾く事ができなくて腕をおろす
何回か同じ行動をとるが、いつの間にかそれもできなくなりただ座っていた

「弾かないの? 俺がきてから1時間はそうしてる」

突然聞こえた声にビックリして肩を震わせた

『結弦くん…。今何時?』

「もうすぐ10時。で、弾かないの?」

わたしがきたのは8時くらいだったから2時間も経ってしまってた

『弾かないんじゃなくて弾けない』

近づく結弦くんに椅子を半分譲りながら昨日プルシェンコさんに言われたことを話した

『どうしよう? このままじゃ弾けない』

しばらく沈黙が続く
先に口を開いたのは結弦くんだった

「Aちゃんがピアノ弾いてるの見てて思ったんだけど…難しい顔してるなって。ピアノ弾くの楽しくない?」

そう言って顔を覗きこまれる
結弦くんに見つめられると素直な気持ちが出てくる

『分かんない。失敗しないようにしか考えてなかった』

「そっか…。でもさ、自分が楽しくないと見てる人も楽しいと思わないんじゃないかな?」

『自分が楽しく…』

「そっ。ピアノの発表会じゃないんだしミスしたって誰も気にしないよ。それより楽しまないと。昨日のリハーサルだってまた俺のスケート見てなかったでしょ?」

『あっ、バレてた?』

「せっかくすごいスケーターがたくさんいるんだから見た方がいいよ」

確かに昨日は周りを見る余裕もなかった
それだけじゃなくて弾いてる間もピアノしか見えてなかった
結弦くんと話してると答えが見つかった気がした

小さい時に初めて1曲弾けたとき、お父さんにすごく誉められて嬉しかったことを思い出した

『今なら弾けるかも。結弦くん、聴いてて』


『…ふぅ、どうだったかな?』

「楽しそうだったよ。ちゃんと笑顔で弾けてた」

よかった、この気持ちでいいんだ

『結弦くん、大事なこと気づかせてくれてありがとう』

そう伝えると結弦くんは優しい笑みを浮かべた

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はら - 実在する人物のお名前を借りる二次創作になるのならオリジナルフラグは外して下さいね。違反行為になります (2018年5月10日 9時) (レス) id: b67bdd910f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆづ子 | 作成日時:2018年5月10日 8時

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