君の声【１】 (ページ42)

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41話ページ42

『結弦くんは何の曲で滑るの？』

「ロミオとジュリエット。Aちゃんが見に来たときにもやったんだけどなー」

『…今度は練習からしっかり見るから』

「じゃ、行ってくるね～」

また何人か曲かけを見てると佳菜子が戻ってきた
そばに置いてあったタオルを渡す
少し話してると結弦くんの番がきた

最初のジャンプが決まるとそのあともジャンプやスピンを決めていく
最後のポーズをとるけど納得できないジャンプがあったのか確認している

個人の曲かけが終わるとオープニングやフィナーレの振り付けの練習が始まった
なんだかんだ最後まで見てしまったのでみんなと一緒にホテルへ戻った

― ― ― ― ― ―２日目(月)― ― ― ― ― ― ―
今日は昨日の問題点を気にしながらしていった
その為午後の練習もスムーズに出来たので予定より早く終えることができた

控え室で休憩していても昨日ほど疲れていなかったので数学の宿題をやろうと広げた
…けど、なかなか手が進まない

何人か声をかけてくれたので教えて欲しいとお願いしても苦笑いを浮かべて離れていってしまった
四苦八苦してると後ろから腕が伸びてきた

「ここ、間違ってる」

見上げれば結弦くんがいた
指された問題を見てもどこが間違ってるのか、さっぱり分からない
見かねた結弦くんがわたしの手からシャーペンを取り、説明しながら答えを書いていく

「…で、答え。わかった？」

『うん、すごいね、結弦くん。先生の説明より分かりやすかった』

「それならよかった。おれ、少し時間あるから教えよっか？」

『いいの？じゃ、ここ座って』

置いてあったカバンをどかして隣に座ってもらう
10分くらいしたところでスタッフさんから練習開始の言葉が控え室に響いた

「っと、ここまでだね。 Aちゃんも行く？」

『忘れないうちにもう少しやろうかな』

「分かんないとこあったらまた明日教えてあげる。頑張ってね」

去り際に頭をぽんぽんされる