君の声【１】 (ページ41)

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40話ページ41

控え室はスケーターさん達がたくさんいた
わたしたちが音合わせしてたから曲かけできないもんね
飲み物を持って空いている席に座る

座ったとたん朝からピンと張ってた糸のようなものが切れた気がした
体力は問題なくても気持ちに余裕がないのが分かる

腕を枕にして机に突っ伏してると隣に誰かが座った
体勢はそのままで顔だけ向けると佳菜子がいた

「A、大丈夫？」

『…平気って言いたいけど…ちょっと疲れてる』

よしよしって頭を撫でられる

「今なら採寸できるからどうかな、と思ったんだけど夜にする？」

『わたしは大丈夫だからやってもらっていい？』

「オッケー。じゃ、更衣室いこ」

話ながら採寸してもらう

『佳菜子、練習は？』

「今歌やってるじゃん。あれ終わったら個人のプログラムの曲かけが順番にあるよ。見に来る？」

曲かけ練習始まるならピアノは弾けないけど、控え室にいてもやることないんだよね
宿題なんかやる気ないし、特に今日は(笑)
気分転換にもなると思い、見に行くことにした

リンクに行けばまだ歌の練習は続いてた
佳菜子のストレッチを見てて思ったけど…

『体、柔らかすぎ…』

「スケーターならみんなそうだよ」

『それに細いし…筋肉でしまってていいなぁ』

「採寸した時思ったけどAだって細いから。あと意外と胸あったし」

『佳菜子、へんた～い』

歌手の練習も終えたらしく佳菜子は滑ってくるねーとリンクへ入っていった
わたし自身スケートをやったことがないので、スケーターにとっては当たり前の滑る行為ですら尊敬する

しばらく佳菜子や他の人を見てると、突然視界が暗くなった

「だーれだ？」

『結弦くんしかいないじゃん』

「…つまんない。ビックリしないの？」

『わたしにこんなことするの佳菜子か結弦くんだけでしょ』