君の声【１】 (ページ38)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:118,168 hit

37話ページ38

３人で食べてると佳菜子が慌ててやってきた

「A～、ゴメン!!」

隣に座るなり抱きつきながら謝ってくる
何事にも一生懸命な佳菜子らしいけど、予想してなかった抱きつきにわたしは椅子から落ちそう

「佳菜、それぐらいにしとき～、Aちゃん椅子から落ちそうやで」

見かねたノブくんに言われて離れる佳菜子
絶対休憩中にやるからと言ってくれた
そのあとみんなで少し話して、わたしだけ一足先に戻り用意をする
とりあえず数学の宿題もカバンに入れておく

５分前にロビーへ行けばすでに誠司くんがいた
顔合わせは会場でやるので誠司くんの運転で向かう

スケーターさん達とは別の控え室にいくとスタッフさんがいた
席は決まっているみたいで１番端へと案内される
段取りを確認していると他の演奏者さんも揃ったので自己紹介から始まった

出演者は２人組の男性シンガーと女性シンガーが１人、ヴァイオリニストの男性とわたしの５人だ

『急遽ピアニストとして出演することになりましたA Aです。一生懸命やるのでよろしくお願いします』

わたしのやる演目はオープニングとピアノソロとフィナーレの３つ
オープニングとフィナーレに関しては他のパートの録音してある音源に合わせて弾くので間違えても大丈夫ですって笑いながらスタッフさんに言われた

と、なると問題なのはピアノソロだ
なんでもピアノに合わせて滑るのはフィギュア界で皇帝と呼ばれるプルシェンコさんらしい
他の２つも失敗はできないけどこの曲だけは完璧にしないとというプレッシャーがのしかかる

打ち合わせは終わりなので練習のため会場へ移動する
アーティストの皆さんは急遽出演の決まったわたしに同情しながらも一緒に頑張ろうと暖かい声をかけてくれた