君の声【１】 (ページ35)

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34話ページ35

誠司くんが去ってから自分でもすごい頑張ったと思う
聴きながら楽譜見て、覚えたらピアノも弾いてって感じであっという間に練習時間は終えてしまった

鍵盤をキレイにしてからステージを降りる
誠司くんどこにいるんだろ？
ぶらぶら歩いてるとスタッフさんにもう少しで打ち合わせが終わるので控え室で待つように声をかけられた

控え室にはいればスケーターさんたちもたくさんいたので、邪魔にならないよう端の方に座った
楽譜を取り出し注意点を書き込んでいく
ふと気づくと楽譜に落ちていた影が大きくなっていたので、振り向くと結弦くんが後ろから覗きこんでいた

「お疲れさま。邪魔しちゃったかな？」

『お疲れさま。声かけてくれてよかったのに…』

「だって背中から『話しかけないで!!』ってオーラ出てたから」

『うそっ!?』

「うそだよ(笑) 必死なのはわかったけど」

『それ、そんな変わらないよね…。だって誠司くんが明日までに弾けるようにって言うんだよ？鬼だよ、鬼』

「…その…さ、誠司…さんとは仲いいの？」

『誠司くん？お兄ちゃんて感じかな？小さいときから面倒みてもらってるから』

「ふ～ん」

結弦くんから聞いてきたわりには興味ないような返事が不思議に思った

「Aちゃん、お待たせ。あれっ、お友達？」

『誠司くん、お疲れさま。スケーターの羽生結弦くん、同い年なの。今日誘ってくれたのも結弦くんなんだよ』

「そうだったんだ、君が誘ってくれてたおかげで色々と助かったよ。アイスショーまでAちゃんをよろしくね」

「いえ、こちらこそよろしくお願いします」

「じゃ、ホテルに帰ろうか？」

『はーい。あっ、結弦くん上着返すね』

「いいよ、アイスショー終わるまで貸してあげる」

『えっ、でも…』

「Aちゃん、彼のお言葉に甘えて借りといたら？」

『じゃ１週間借りとくね』