・ ページ7
返事を待たせ、とてとてと運転席に回り開く準備。
再び車の前に立ち手を入れてさぐり、レッツオープン。
「おじさまの自信作です」
たたーん、と大して勢いのない平坦な効果音を告げ両手で指し示す。
内部を照らしながら中を見回した啓介くんは再び切れ長の瞳をまん丸にさせた後、私の頬へと両手を伸ばした。
「ッ…尽く黙ってたなA〜〜！！」
「いひゃいいひゃい」
両手がむにむにと頬を遊ぶから、不服を訴えながらも緩みは止まらない。
「すげぇ〜…ったく…プレリュードはFFだし、走るっつってもまた感覚違うからな」
「啓介くんには内緒で何度か流してみたから、少しは掴めてきたよ」
最早プレリュードのエンジンルームが懐かしいのだろう。
おじさまが嬉々としていじっていた成果が得られ早くもにまにましてしまう。
再び見上げる私にまた啓介くんは素っ頓狂な声を上げた。
「はっ！？おま、ひとりで？夜に？」
「夜は怖かったから、早起きして明け方に…」
驚いてる顔もかっこいいとは罪な男だ、と思いながら見ていれば、あんぐり開けた口を覆った啓介くんは息をつく。
「誘えよ俺を…」
「誘ったよ」
「今じゃねェよ」
まったくお前は、と言いながらも、頭をなでたり髪を指に巻き付け遊んでみたりと怒られているのか可愛がられているのか尽く甘やかしてくれるせいか浮足立ってしまいそう。
「とりあえず…一回下りして、のぼりは…」
「する！！よしきた、レッツゴー！！」
「急に張り切るな」
目を輝かせナビシートの方へ背を押し、自身も嬉々として乗り込む。
プレリュードの時から彼がナビに座ってくれるのは緊張していたが、今日もまた然り。
いくら優しくて大好きな彼氏さんとはいえ、本物の走り屋さんなのだ。彼女というステータスがなければこんな豪勢なこと、滅多にできないと思う。
「やっぱり緊張する、エンストしそう」
「さっきまでの威勢はどこいったんだよ」
ステアを握り瞬きをする私にくつくつと含む様に笑う啓介くん。
だって赤城のツートップを…と途端にファンモードに移行する私はなだめられながら駐車場を出る。
ふぅ、と息を吐き出し真っ直ぐ見やった夜の道。
「変な癖とかあったら、すぐ教えてね」
「任せろ」
次のコーナー抜けてから飛ばす、とアクセルを踏み足す私に、啓介くんのまなざしもまた鋭く変わった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 93人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
み(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» わぁぁ！！こちらもお読み下さり、また数々の嬉しいお言葉ありがとうございます💖推しへの愛をどんどん膨らませていきましょ💕💕 (3月12日 7時) (
レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 啓介ぇぇぇぇぇええええ！！！！好きだ…………。最高です。こんな小説読んでしまったらアニメの続き見る時思い出してしまうではないですか！！！最高です。啓介への愛が3倍程に膨らむくらい最高の作品に出会えて良かったです😭ありがとうございました！！！ (3月12日 3時) (レス) @page46 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - 彩さん» 彩様こんにちは！こちらこそ、お読み頂きコメントまでありがとうございます、とっても嬉しいです💕啓介くんの溺愛が見たい…！！と思っての執筆だったので、楽しんで頂けて幸せです(*^^*)ありがとうございます💖😊 (12月27日 8時) (レス) @page35 id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
彩 - こんにちは。数少ない啓介夢をありがとうございます。真っ直ぐな啓介にドキドキしながら読ませてもらいました。主人公への独占欲も堪りません(〃∇〃) (12月27日 0時) (レス) @page45 id: bd691f240a (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - 智真さん» こんにちは！コメントありがとうございます！！そう仰って頂けて本っっ当に嬉しいです💖啓介くんイイ男すぎますよね…！こちらこそお読み頂きご感想まで頂けてとても嬉しく思います、ありがとうございました😊 (2023年1月23日 8時) (レス) id: b66859cee4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：み
| 作成日時：2022年7月2日 8時
