83話 まぁじか ページ37
『....っ』
頭から火の中に飛び込んだのかと錯覚する程、一気に脳に熱がこもる。
周囲の人々の魔力量や能力、売り物の効能、建築の材質...果ては景色に見える細かな色彩まで
余すことなく浮かび上がる情報。
鑑定先を指定できればいいのだが、どうにも私が使うと視界全ての情報が入ってしまう。
「どしたの？大丈夫？」
じんわりと襲う不快感に額を抑えていると、流石に気になったのか心配された。
『あ、いえ、大丈夫っす』
気分の悪さは改善していないが、あまり迷惑をかけたくないので、仕方なく額から
手を放す。
何とかできないなら早めに終わらせるしかない。
視線を空に投げる。
『....』
見渡すの同じ文字。
....暫くは吸血蝙蝠の四文字が頭から離れなくなりそうだ。
集合体の中央部は文字が重なりすぎて読めないが、多分同じだろう。
吸血蝙蝠のデータは既に試験で採ってるし、もういいかな。つか吐きそう。
吸血蝙蝠に興味を失い、鑑定さんを切ろうと思っていたその時だった。
「っAちゃん！！」
『はい？』
血相を変えた青年兵士が、私の肩を強く叩く。
「あれ、見えない？ほら、あそこ！」
痛みは伝わらないが結構遠慮なく叩いてきたのは分かったので、嫌そうな顔で
振り向くと、兵士は特に気にした様子もなく必死に蝙蝠達の集合体の中央部を指さす。
そこさっき見てたんだけど？
しかも戦闘職なせいかスキルが多くてこいつ見た瞬間酔いそうになった。
なんでそんな多いの？一個に統合しよ？
自分を棚に上げてぶつくさ文句を言いながら、詮方なく集合体を見る。
目を細めても、少し待っても、そんなに騒ぐような異常は見当たらない。
......あー無理。うちの探し方が雑なんかもしれんけど、頭いてぇし。
『んー、わかんないで――――――』
《告。周囲と異なる解析結果を持つ個体を発見しました。
視覚的な配慮の為、フォントの色を変更します》
私より先に見つけ出した鑑定さんが、その異物の鑑定結果を発光させる。
おぉ、見やすい見やすい。
『いや、見つけましたわ。あれか....
ん？あれ？』
ふと、違和感を覚える。
鑑定結果は妨害されて、細部まで見れない。でも、それはいい。
問題は.....
『見たことある....』
そう、見覚えがある。これが有り得ない。
だって、私がわざわざ覚えているような結果なんて―――
『.....凛？』
そう、凛。あいつ以外いないのだから。
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ななか - これは誰落ちですか？ (2022年2月9日 23時) (
レス) id: ffd4f837c8 (このIDを非表示/違反報告)
あ - はぁさん» それは、あなたが第三者と言う視点で見ているからではないですか？とても良いことだと思いますよ (2021年12月18日 23時) (レス) @page42 id: 8387e28010 (このIDを非表示/違反報告)
リィ(プロフ) - めっちゃ好きだから更新待ってます！ (2021年11月1日 9時) (レス) @page43 id: 3d8772a864 (このIDを非表示/違反報告)
はぁ - オリ主にも凛にも感情移入ができない。どういう思考回路してるんだと思う。まともな人間じゃない (2021年10月3日 19時) (レス) @page39 id: b4976d2346 (このIDを非表示/違反報告)
ハック - 続き・・・(ﾁﾗｯ) (2021年9月15日 19時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tacoloss | 作者ホームページ：http://201511ｋｂ
作成日時：2019年8月15日 15時
