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79話 自問自答 ページ33

クソッ、時刻は!?


《現在、午後4時37分です》


意図したものとは違う答えに、狼狽する。

自分の失言だと気づくのは1秒後だった。


ごめ、違うっ!!死ぬまであと何秒の余裕っていうか時間が知りたく


そうこうしている内に、召喚が完全に完了する。



ジーギス「いけ、ダークゴブリン!!」



指示通り剣と盾を構え、こちらに向かってくるダークゴブリン。


詰んだ、これは確実に死んだ。

テストで焦ると本当に何も思いつかないような私だ、ここで天才的打開案が浮かぶわけもない。



『チィッ』



振り下ろされた剣から、恥も忍んで全力で逃げる。

後ろ足首に微妙な違和感が走り、見ると血が滲んでいた。


ぞわぞわと気持ちの悪い感覚が胸中に広がる。

痛覚無効があっても、記憶は痛みを忘れないらしい。



とは言え、かすり傷だ。

HP的にはまだ全然余裕がある。



だが、ダークゴブリンが人をおちょくるような顔をしていたせいだろうか。


短気な私は、ふつふつと怒りがこみ上げ始めた。





―――――クソが、憎ったらしい顔しやがって。


なんでこいつにこんな目にあわせられなきゃなんねぇんだよ。



4時半だぁ?

前世だったらもう家に帰ってるよ畜生め。


さっさと宿題して、ゲームして......



ダークゴブリンが、油断した私を盾で突き飛ばす。

観客が短い悲鳴を上げ、私は円陣ギリギリのところに尻もちをついた。


掌にくっついた砂を払いながら、一人思う。



―――――そうだよ。


なんでこんなことしてんだ?私は。



そんな場合じゃないとわかりつつも、最近の自分に異常性に悪寒を感じる。



例え身分証を取るためと言えど、普段の私が一見もせず試験を受けようと思うだろうか?


答えは否。

私が、そんな手間のかかることを率先してやるはずがない。


一時の気の迷いと片付けるには、あまりに私の行動理念とずれている。



おかしい。


有り得ない。



私には、[魔王]や[実況者]を手に入れた時とは比べ物にならない、強い願望があるのに。



剣の先端が差し迫ってる。

試験の中止を促す声があっちこっちから飛び交い始めた。



ほんとに、こんな状況で気づくなんてな。





《――――確認しました。ユニークスキル[放蕩者(アソビニン)]を獲得.....

成功しました。》



霧がかった視界が晴れたような気がして、早速手に入れたスキルを発動する。





 





『さっさと消えろ』



私は、早く帰って遊びたいんだよ。

80話 見る人はちゃんと見てくれるんよ→←78話 勝ち確だと思った??



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ななか - これは誰落ちですか? (2022年2月9日 23時) (レス) id: ffd4f837c8 (このIDを非表示/違反報告)
- はぁさん» それは、あなたが第三者と言う視点で見ているからではないですか?とても良いことだと思いますよ (2021年12月18日 23時) (レス) @page42 id: 8387e28010 (このIDを非表示/違反報告)
リィ(プロフ) - めっちゃ好きだから更新待ってます! (2021年11月1日 9時) (レス) @page43 id: 3d8772a864 (このIDを非表示/違反報告)
はぁ - オリ主にも凛にも感情移入ができない。どういう思考回路してるんだと思う。まともな人間じゃない (2021年10月3日 19時) (レス) @page39 id: b4976d2346 (このIDを非表示/違反報告)
ハック - 続き・・・(チラッ) (2021年9月15日 19時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:tacoloss | 作者ホームページ:http://201511kb  
作成日時:2019年8月15日 15時

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