78話 勝ち確だと思った？？ ページ32
顔を上げると、呆けた顔が辺りにずらりと並んでいた。
それに僅かな高揚感を感じつつも、まだ終わっていないと自分を叱咤する。
座らせたのはいい。
でも、次、どうすれば？
律義に座っているドーベルマンの方に視線を戻す。
倒す。この場合は言わずもがな殺す、という意味だろうな。
力が抜けていくような感覚がして、右手が小さく震える。
命を奪うことに対する怯えが、理知的な手段を否定してしまう。
この子を殺す？
できっこない。
まだ何もされていないし。むしろ、こちらの意に沿おうとしてくれているし。
戦闘不能を言い訳にEランクの合格を具申しようとジーギスのオッサンを見るが、
彼は必死にドーベルマンに指示を出しており、言える雰囲気ではない。
どうあがいたってユニークスキルにはユニークスキル以上にしか太刀打ちできない、
という凛の言葉を思い出す。
この事態を終息させるには、自分で何とかするしかないと。
でもなぁ...いや、待てよ、
『ハウス！』
お座りが出来るなら、自分の家もきちんと認識しているだろうと指示を出す。
殺したくないとはいえ、大衆の前でこんな事を叫ぶ自分が恥ずかしくて仕方ない。
「ワンッ！」
元気に一吠えすると、瞬時に出た魔法陣と一緒にドーベルマンは消えてしまう。
どうやら元居た場所に還ったようだ。仕組みは分からないが。
あっけらかんとしているジーギスさんを見据え、声を振り絞る。
『ドッ....召喚獣は還しました。これ、倒したことになりませんかね....？』
機嫌は損ねたくないので、あくまで提案と言う形で問う。
ジーギスさんは暫く何かを言いたそうにしていたが、やがて渋々と言った感じで頷いた。
ジーギス「.....いいだろう。次だ」
込められた魔力から次に召喚されたのは、武装した
何てことはない、もう一度洗脳するだけだ。
召喚が完全に完了する前に、ユニークスキル[魔王]を発動する。
《―――告。対象に僅かながら自己意識が存在する為、洗脳に失敗しました》
優越感が、一瞬にして焦燥感へと塗り替えられていく。
マジか、マジかマジかマジか。
失敗？このタイミングで！？
まだDランクの試験やぞ！？
私の焦りなど知る由もない野次馬共は何やら騒いでいるが、
そんなことはどうでもいい。
武装したゴブリンが剣を所持しているのを確認する。
沸騰した頭を巡らせるが、策は思いつかなかった。
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ななか - これは誰落ちですか？ (2022年2月9日 23時) (
レス) id: ffd4f837c8 (このIDを非表示/違反報告)
あ - はぁさん» それは、あなたが第三者と言う視点で見ているからではないですか？とても良いことだと思いますよ (2021年12月18日 23時) (レス) @page42 id: 8387e28010 (このIDを非表示/違反報告)
リィ(プロフ) - めっちゃ好きだから更新待ってます！ (2021年11月1日 9時) (レス) @page43 id: 3d8772a864 (このIDを非表示/違反報告)
はぁ - オリ主にも凛にも感情移入ができない。どういう思考回路してるんだと思う。まともな人間じゃない (2021年10月3日 19時) (レス) @page39 id: b4976d2346 (このIDを非表示/違反報告)
ハック - 続き・・・(ﾁﾗｯ) (2021年9月15日 19時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tacoloss | 作者ホームページ：http://201511ｋｂ
作成日時：2019年8月15日 15時
