68話 さぁさ準備だ ページ22
扉を開けると同時に、小さな白い紙が眼前に突き出される。
無意識下で防衛本能が働き、私は咄嗟に目を瞑った。
凛「あげる!」
眼を開いたと同時に凛が私の手首をつかみ、半開きの掌の上に紙を乗せる。
掌のむず痒い感覚を取り払うため、直ぐに指で紙の端をつまんで広げた。
『これは....』
出来る限り掌を目に近づけ、メッセージを何度も読み返す。
読み違えたわけではない。そもそもこんな短文で間違うわけないだろう。
でも、突然どうして?
ふと顔を上げると、もうそこに凛はいなかった。
玄関の前で突っ立っている私を、通行人が怪訝な顔で見ている。
逃げやがったなアイツ!!
人目に晒されない様そそくさと扉を閉め、小さな手紙をズボンのポケットにしまう。
地味に恥ずかしい思いをさせられたわけだが、不思議と苛立ちはなかった。
.....まぁ、全くやる気の起きない話でもない。
やりたいことは色々あるし、これを機に行動を起こしてみようかな。
*
小鳥のさえずる穏やかな森。
ここに来るのは4,5回目だろうか。足を踏み入れるのに躊躇はなくなってきた。
《了。指定された物品の機能、構造、材料及び製造方法を記憶をもとに解析します。》
文句ひとつ言わず頼んだ仕事をこなそうとする姿は、最早頼もしいの域を超える
絶対的な信頼を湧き上がらせる。
さてと。鑑定さんは構想に入ったし、私は私で出来ることをやろう。
周囲に誰もいないことを確認し、[魔物召喚]を使って虎ちゃんを呼び起こす。
「グルゥァッ!」
『魔物を探してきて。あ、見つけても殺さないように。』
太陽光に反射した煌びやかな毛並みを無感情に眺めつつ、指令を下す。
何度も殺されているのに呼び出せるって言うのも不思議な感覚だ。
走りゆく虎ちゃんを見送り、青い空を仰ぐ。
凛からのメッセージ。それは“四日後に遊びに来るから遊び道具用意しといて”だった。
何で四日後なのかは疑問だが.....おかげで、リムル達と話すなんて言う数年はかかりそうな
目標が延期できる。
『一人遊びは割と得意なのにな』
世渡り上手の人が心底羨ましい。
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ななか - これは誰落ちですか? (2022年2月9日 23時) (レス) id: ffd4f837c8 (このIDを非表示/違反報告)
あ - はぁさん» それは、あなたが第三者と言う視点で見ているからではないですか?とても良いことだと思いますよ (2021年12月18日 23時) (レス) @page42 id: 8387e28010 (このIDを非表示/違反報告)
リィ(プロフ) - めっちゃ好きだから更新待ってます! (2021年11月1日 9時) (レス) @page43 id: 3d8772a864 (このIDを非表示/違反報告)
はぁ - オリ主にも凛にも感情移入ができない。どういう思考回路してるんだと思う。まともな人間じゃない (2021年10月3日 19時) (レス) @page39 id: b4976d2346 (このIDを非表示/違反報告)
ハック - 続き・・・(チラッ) (2021年9月15日 19時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:tacoloss | 作者ホームページ:http://201511kb
作成日時:2019年8月15日 15時