fictionｰ虚構の世界ｰ

普の意思 ページ7

side普


普｢困るよ｣






倒れ込むAを抱きとめて呟く。






バキッ






手に持っている筆を片手でへし折る。筆が苦しむようにピクピクと震えだした。






普｢Aにはここに居てもらわないと…｣






べキッ






そう言って、さらに細かく折っていく。






パラパラ、と手から折れた筆がこぼれおちていく。筆はもう動く素振りを見せなかった。






普｢A｣






胸に収まりすやすやと寝息を立てるAをきゅっと抱きしめる。






普｢ずっとここにいてよ…そうすればAが死ぬ未来なんて、永遠に訪れないんだからさ｣






思わず抱きしめる腕に力が入ってしまう。






『ん…』



普｢！｣






寝ているはずのAが寝言のようにうめいた。






一瞬だけ苦しそうな顔をしたが、すぐに安らかに眠り始めたのを見て安心する。






全ては愛しいこの子を守るためだ。






普｢もうすぐこの世界も完成する…Aは少しずつ、今までの事も忘れていくだろうね｣






優しく頭を撫で、その手を耳の横に添える。






普｢早く花子なんて忘れなよ。今の俺と、ずーっとここで仲良く暮らせばいいんだ｣






額にそっとキスをした。








普｢さ、かえろっか｣

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