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ニコ、と目の前の彼は笑いながらとんでもないことを聞いてくる。






(どっちが好きとか、そんなのじゃなくて…私は…)






『えっと、私はいたっ!?』






コツン!と頭に、何かがぶつかった感触。いきなりのことで何が起こったか分からない。






しかも地味に痛い。






『え!何!?花子くん何かした!?』



普「俺じゃないよ、たぶんこれじゃないかなぁ…」






一人で軽くパニックになっている私の横にしゃがみこみ、花子くんが拾ったものは…






『え…筆?』



普「筆だね…」






筆だった。そう、筆。筆と言っても、習字で使う筆じゃなくて、絵を描いたり色を塗る時に使う筆だ。






『どうして筆が私の頭に…』



普「あ」






花子くんの手からするりと抜け出した筆は、ふよふよと空に浮かんでいる。






何だこの筆は。






すると筆は、私たちの前の地面に何やら文字を書き出した。








“あなたは 気づいているんでしょう?”








(気づいている…って、何に…)






私はこの時、筆の書き出す文字を追うのに夢中で、全く気づかなかった。






隣で、その文字を見つめる、花子くんの顔に…








“この世界が 二―”








文字を書く筆が止まった。
それも、そのはず。






『………花子くん…?今いいとこなのに、何して…』






花子くんが急に立ち上がって、文字を書く筆の動きを止めたから。






そしてその筆を手に持ったまま、無言で私に近づいてくる。






『花子くんどうしたの?今筆が何か書こうとしてるとこだったのに…離してあげなよ…?』






そうして目の前に立つ花子くんは、私が今まで見たことの無い表情をしていた。






恐ろしいほど冷たくて、でもどこか悲しい目をしていて。






こんな花子くん、私は知らない。






『…!』






トン






と、花子くんが人差し指と中指を、私の額に軽く当てた瞬間。






体の力が抜けて、目の前がぐるぐる回り始めた。意識が朦朧として何も考えられなくなる。






ブランコに座っていられず、私は滑り落ちるように倒れ込んだ。






倒れたのに不思議と痛みはなくて。






爽やかな、柔軟剤のいい匂いを鼻に感じながら、意識を手放した。

普の意思→←嫉妬



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設定タグ:地縛少年花子くん , 柚木普 , 柚木つかさ   
作品ジャンル:恋愛
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かの子(プロフ) - エアさん» 好きと言ってもらえて嬉しいです!続編ページだけ作ったので気が向いたらお越しください…笑 (2020年3月14日 23時) (レス) id: 67da33eda0 (このIDを非表示/違反報告)
エア(プロフ) - 更新ありがとうございます。普くんend好きです!つかさくんend続ききなります!余裕がありましたら是非続編をお願いします! (2020年3月14日 21時) (レス) id: 8a2351a5fa (このIDを非表示/違反報告)
かの子(プロフ) - れいさん» 全力待機!笑 私も頑張って作りますね!! (2020年3月13日 15時) (レス) id: 67da33eda0 (このIDを非表示/違反報告)
れい - かの子さん» まままままままさかあまねくんedもつかさくんedも両方読めるなんて!ありがとうございます!更新を全力待機しております! (2020年3月13日 11時) (レス) id: 2204e3e34a (このIDを非表示/違反報告)
かの子(プロフ) - れいさん» なんとも嬉しいお言葉です。いつもありがとうございます!うーん悩み所ですよね…私もなんとか頑張ろうと思います!ご意見感謝です! (2020年3月12日 15時) (レス) id: 67da33eda0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かの子 | 作成日時:2020年3月2日 15時

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