大人になりたい。 (tk×in) (ページ3)

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た、助かった…。
解放されたことで気が抜けて、電車内にも関わらず座り込んでしまった。

「大丈夫？…なわけないよね。ここ居づらいよね、他の車両行く？」

助けてくれた男の人が、座り込んだ俺に目線を合わせてそう聞いてくれた。

確かに、周りの人も何の騒ぎだと気になっていたようで、注目されている。居づらいけど、次の駅で降りるから大丈夫だと伝えると、その男の人も次が最寄りだと言った。

「立てる？」

「はい…、すみません…。」

ドアが開いて、差し出してくれた手に捕まって電車を降りた。
なんか、安心したのと怖かったので涙が…。

「怖かったよね…、ごめんね、もっと早く気づけばよかった…。」

「そ、そんな！あの、助けてくれてありがとうございました…。」

そう言うと、男の人は優しい顔で、俺の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
その優しさで、余計に涙が…。

「あ！ご、ごめん！触ったら怖いよね、ごめんね！」

「ち、ちがいます！…なんか、ホッとして…。」

外なのに涙はぽろぽろ止まらない。男の人はそんな俺の手を引いて、あまり人がいないベンチに連れて行ってくれた。

「これどうぞ。温かいの飲んだら落ちつくかも。」

そう言って男の人は自販機で売ってる缶のココアをくれた。
遠慮したんだけど、飲んでくれた方が嬉しいって言われたからもらうことに…。