【レトルト】狼少女、拾いました (ページ1)

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第一章*レトルトside ページ1

ガサガサと木が揺れる
ガタガタと家の窓が揺れる
ザアザアと雨が降る
トトトッと傘が水滴を跳ね返す
ゴソゴソと俺の持つ袋が揺れる

俺は台風の中、風に飛ばされそうになりながらも家への道のりを歩く
いつもの公園
いつもの信号
いつもの曲がり道

そんないつも道理という退屈に囚われた俺。
…心のどこかでは何か面白い事が起きることを期待していた

例えばこの雨がお金に変わるとか、美少女が目の前を通るとか…
事件なんて物騒なものを期待している訳ではないのでこれくらいは妄想しても良いだろうと美少女をイメージする

「んー…15歳くらいの女の子で…背は俺より少し低めで…肌が白くて……ケモミミ…？」

違う違う、俺はケモミミ少女をモフモフするなんて趣味はない

でも…俺の目の前のソレは俺が想像した女の子と全く同じ姿をしていた
…その耳と尻尾以外は

俺の目の前の少女は四足歩行でボロボロの＿元は白かったであろう＿砂で汚れたワンピースを着ていて頭にモフモフの耳、お尻にふわふわそうな尻尾がついていた。

ぐるぐると唸るその口から白い犬歯が見えていた。

「きっ君…大丈夫か…？」

何か…ふらふらしてる…。
風のせいじゃない
あの子…もしかして…病気…？

そんなことを考えているうちに少女は糸の切れた操り人形のように力なく倒れた

そんな少女の元に駆け寄り、俺は彼女をおんぶして走り出した