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「嘘つけ…んっ…」
全身を大きな手が優しく包み込んでいく。
その海人くんから伝わる優しさがたまらなく欲しくて、
自分だけのものにしたくて。
「かい…と…はぁっ…っん……」
「やっぱAん中、最高」
誰も見ていないテレビからは無機質な笑い声が聞こえる。
繋がっている間だけは二人だけの時間が流れる。
どうせ、道具としか思っていない、そんなことは出会った時から分かっていた。
でも、それでもいいと求めてしまった。
どうにも息苦しくしているのは、紛れもなく自分自身。
事を終えて携帯を開くと海斗からの不在着信。
時刻を見ると既に時計の針は０時を過ぎていた。
今から電話をかけなおすのも悪いと思い、
電話気付かなくてごめん、明日楽しみにしてるね、とだけメッセージを返信し、
携帯を閉じる。
「海人くん、明日朝早いから帰るね」
そう言って身だしなみを整え立ち上がろうとすると、海人くんは私の腕をつかみ、
自分の胸の中へと抱き寄せた。
海「行かないで、もうちょっとだけ」
まだ下着しか身に付けていない海人くんからは直に体温を感じる。
心臓の音も伝わってきそうなくらいの密着でさっきまでしていたことが
思い出されてまた少し恥ずかしくなる。
「ちょっとだけ、だよ」
今度は寝室まで連れていかれ、ベッドに二人で沈む。
満足げにほほ笑む彼の表情を見つめ、瞼を閉じる。
―――――――
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作者名：chimachu | 作成日時：2021年6月25日 17時
