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松倉side
Aがいつも俺に優しいねって言ってくれるその言葉の本当の意味は
きっと俺の気持ちを傷つけないための優しさなんだってずっと気付いていた。
高校の時からAとはなんかずっと一緒にいて、
お互いの恋愛相談とかして。
でもそのたびにずっとモヤモヤして、いつからか俺のことを見てほしいって
そんな独占欲みたいなものが出てきて。
高校を卒業してすぐAに彼氏が出来た。
彼にぞっこんだったAを見ているのはすごくつらくて、
最低だけど、別れちゃえばいいのにって思ってた。
それでも俺に惚気話や相談をしてくるAのことはどこか憎めなくて
こんなにも好きになってたんだって、誰かのものになってから気付いたんだ。
俺だったらAのこと傷付けたり泣かせたりしないのに。
ずっと隣で見守ってきたのは俺なのに。
どうして振り向いてくれないんだろう。
ありがとうって言いながら隣で優しく微笑むAの横顔を見て、胸が苦しくなった。
あと少し、もう少しで俺だけを見てくれると信じたいのに。
やっぱりAの瞳に、俺は映っていない。
―――――――
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作者名：chimachu | 作成日時：2021年6月25日 17時
