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盗み聞き ページ6

「やだ、ユリウス様ったら、お上手なんだから…。わたし以外の女性にも、同じような事ばかり言っているのでしょう?」

「そんな事ないさ。カトリーナはその辺にいる令嬢なんかより、美しく素晴らしい女性だ」

「もう、何言ってるんですか…。わたし、本気にしちゃいますよ?」

カトリーナの桃色の髪のせいか、この空間に桃色の煙が漂っているような感じがした。ラブラブな二人を祝福するかのようなハート型のシャボン玉も浮いている。

二人のラブラブ度は、アリスの婚約者といる時なんて比にならない位だった。

「な、何よこれ…」

もしも二人のこの様子を婚約者が見ていたら、カトリーナはどうなっていたのだろう。ちょっと気になった。

でもここで都合良く婚約者が遊びに来ているなんて事はない。朝早くから伯爵令嬢の家に通う公爵令息なんてどこにもいない。

私はそっとこの場を離れた。果樹園に行くのは諦めよう。もうこれ以上カトリーナに嫌われないようにしないと。

しかし、運悪く砂利を踏んでしまい、ジャリッと音が鳴ってしまった。

「まさか…誰かいるのっ!?」

その音を聞き取ってしまったカトリーナが慌てて周りを見渡した。私はカトリーナに見つからないよう、出来るだけ音を立てないように走って屋敷まで逃げた。

どうしよう、見られたかも知れない。盗み聞きなんて慣れない事をするんじゃなかった。

私は、駆け込んだ玄関ホールで待っていた使用人に驚いたような顔で自分の部屋へ通された。

お茶会への誘い→←青薔薇の庭園



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作者名:もか | 作成日時:2020年5月4日 19時

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