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社交界デビュー ページ11

この世界の貴族は八歳〜十二歳の間に社交界デビューする事を義務として定められている。

私はアリスがまだ八歳十ヶ月位だったり、自分の家の爵位が低かったりしたため、社交界の存在をすっかり忘れてしまっていた。

「今日のパーティーでお前達が社交界デビューする事が決まった」

お父様にそう言われて、私はやっと自分が窮地に立たされている事を自覚する。

「待って下さいお父様!私、家庭教師もつけてもらえていなかったのですよ!?」

「カトリーナは良い子だからな、すぐに婚約の打診が来るだろう」

「あら、あなた!婚約の打診なんてもう既に何件も来ていますわよ!」

私の訴えは完全スルー。両親はカトリーナを挟んでカトリーナを褒める。こんな風に甘やかすから、カトリーナがあんな子に育ってしまったではないか。どうしてくれるんだ。

「お父さま、お母さま、そんなに褒めたって何も出て来ませんよー」

嬉しそうにニコニコしながら言われても、説得力は発生しなかった。

「あっ、またアリスの事を放置してしまいましたわ」

「……!お母さま、お姉さまの事なんて構っても、何のメリットもありません。早く会場に行きましょうよ」

お母さまが私の存在に気付くと、慌てた様子で私から意識を逸らすカトリーナ。

「そうね。早く行かないとカトリーナの出番が無くなってしまいますわ」

そんな二人の様子を見て、改めて自分の存在の小ささを自覚させられた。

私は壁の華→←一人の時間



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作者名:もか | 作成日時:2020年5月4日 19時

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