【刀剣乱舞】短編詰め (ページ21)

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最期の話4 ページ21

最後の、一閃。

敵の大太刀は倒れ、清光は立っている。

勝った。

そんな言葉が浮かび上がってくる。
呆然としていると、清光が音を立てて倒れた。

慌てて駆け寄る。返り血なのか自分の血なのか分からないほどに血濡れた清光は、ゆっくりと口を開く。

「主、ごめん」

「俺さ、歴史を変えちゃったんだ。主、本当はここで死ぬからさ」

「どうしても嫌で、気づいたら身体が動いてた。敵が多すぎて勝てないだろうから、自分が代わりに死のうって、そのつもりで来た」

「まさか、勝てるとは、思わなかったけど」

途切れ途切れにそう告げ、力なく笑う。私はただ聞いていることしか出来なかった。そんなことを、思っていたのか。
自分のやってきた事全否定して、死ぬつもりできて、この覚悟に私は何を言えるのだろう。なにも、言えなかった。
ただただ清光の手を握ることしか出来ない。
清光は、ハッとしたような表情をした後、諦めたように笑った。

「主」

「時間遡行軍ってさ、どうやってなるか知ってる？」

「俺さ、今知っちゃった」

清光は、握られていない左手をこちらに見せてくる。

その左手は、幾度も見た黒ずんだ色に変わっていた。

「時間遡行軍は歴史を変えた刀剣男士の成れの果てだったんだね、俺らいっつも同士斬りしてたようなもんなんだなあって」

「ねえ、主。俺さ、歴史変えちゃうくらい主のこと愛してるみたい。主がやってきた事否定してごめん」

「愛してごめん」

「そんな愛してる主の手で終わらせて欲しい、主の前に敵として立つ前に、俺が"主の加州清光"で居られるうちに」

清光は、刀を、加州清光を差し出してくる。

「折って」

全てを許すような慈愛に満ちた顔だった。