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最期の話3 ページ19

カチャリ、装備が音を立てる。

誰ともすれ違わない長い長い廊下。目指すは第二会議室。
コツコツとヒールが子気味良い音を立てる。

これからすることは、今まで共に戦ってきた仲間、そして審神者への、主への冒涜だ。
それは、分かってる。だから誰にも告げず単騎で乗り込む。
一度そう考えてしまえば止まれなかった。諦められなかった。主に生きていて欲しかった。散々泣いた翌日、一人でいじり慣れた時間転移装置を操作した。
うちのような大所帯の本丸の審神者を助ければ歴史は大きく変わってしまうかもしれない。劣勢は有利に、敗北は勝利に変わってしまうかもしれない。
でもきっと、時の政府はそのままにしておくだろう。政府としても審神者が死ぬのは痛手だろうから。

あの役員に、主の最期の映像を見せてもらった。
あの場に刀剣男士はいなかった。にも関わらず、凄まじい数の時間遡行軍が押し寄せていた。必ず殺す、そんな意志を感じるほどに。

主を逃がしながら自分も逃げるのは無理だ。

そう直感した。ならば、心の囁くとおりに。





主の代わりに死のう。







眼前に広がるは、血、血、血

先程まで阿鼻叫喚という言葉が相応しいほどに騒々しかった審神者定例会議の場は、いつの間にか静まり返っていた。
ぐちゃぐちゃになった"人だったもの"があちこちに散らばっている。

時の政府の敵、時間遡行軍。
彼の者のらが侵攻してきたこの場はあっという間に血の海と化した。

死ぬんだな、そう実感する。目の前でギラりと鈍い光を放つ大太刀を振り上げられながら思ったのは本丸の皆のこと。

皆どうなっちゃうのかな。

「ごめんね」

ここで終わりみたい。

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作者名:零磨 | 作成日時:2022年6月24日 21時

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