【刀剣乱舞】短編詰め (ページ16)

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本丸怖い話3 ページ16

それからというもの、夜になると施錠を見回りながら札の破損や、加州清光が札の部屋にいるかを確認するようになったのだという。一期一振はそんなことがあったのかと震える。人の想いとはそうも強いものかと、それに応えた加州清光の審神者への愛にも驚きを隠せなかった。人の身とは、感情とは、そうも大きなものなのかと。顕現したての一期には感情がわからない、思わず薬研に問う。薬研は少し考え、ふわりと微笑んだ。雪が溶け、春が来る時のような暖かくも冷たい柔らかな笑み。

「この身を得なければわからなかった感情があるんだ。刀剣男士がただの刀であった時代のように見ているだけでは満たされない時が一兄にもくるさ」

この話をした時の薬研の感情は、顕現したての一期一振にはあまりに難解で、兄弟であろうと分かり得ないこともあるのだと彼に思わせたきっかけの出来事であった。

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