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「‥‥ご飯つくってあげたり、一緒に買い物、とか‥‥なにか困ってたら私、高校生だし保護者代わりにもなれるし、あと勉強とかも教えられる、かもしれないし‥‥あと‥‥」
「ほら、いっぱいあるやん」
なでなで、とまるで子犬を可愛がるように撫ぜられた。由海ちゃんはいつもこうして私を子供扱いする。
「それをしてあげたらええんちゃう。気ぃ使うと聡い子は見抜くで？」
「‥‥うん。そう、だね」
「ま、なんかあったらいつでも相談は乗るし、言いや」
「！ ありがとう、がんばってみる」
自信がでてきた。
とにかく手の届く範囲からでもいいから、私にできることをやってみよう。
★
挨拶を終えて数日後に、新しいお母さんとショッピくんは私たちの家へと引っ越してきた。お父さんが新築か中古で新しく家を建てるか購入しようかと、提案したのだけどショッピくんのお母さんがにっこり笑ってこう言ってくれたのだ。
「ここはAちゃんとお父さんが育ってきた大切な場所やろ？捨てたら勿体無いわ。それに、ここを新しい楽しい思い出でいっぱいにしたいんよ」
改めて、私はこのお母さんのことが大好きになった。
しばらく引っ越しでバタバタしていたが、ショッピくんは今日からこの家に帰ってくる。残念ながらお父さんもお母さんも今日は夜遅くなると連絡を受けている。
「カレー、ハンバーグ、豚カツ、から揚げ‥‥あとエビフライもできる‥‥あ、カレーの具材があるからシチューもできる‥‥よし」
冷蔵庫の中の食材をあーだこうだひっくり返して、スーパーの袋に入った食材も手に私は台所へと立っていた。とにもかくにも、ショッピくんに私のこの家に歓迎しているってことが伝えられればいい。そしたらきっと仲良くなれるはずだ。
「(ショッピくんの好きなものいっぱい作って、大歓迎会する！)」
がちゃり、と微かに玄関の鍵が外された音が聞こえた。
思わずぱっと表情が明るくなって、玄関へと駆け出してしまう。
「ショッピくん！」
「！」
廊下への扉をひらけば、すぐにスニーカーを脱ごうとしているショッピくんと視線がかち合った。突然飛び出してきた私に驚いたのだろう。ぱちくりと目を瞬かせている。
「？ どうしたんですか」
「あっ、ご、ごめ」
自分だけがはしゃいでしまった。
ショッピくんとの温度差に恥ずかしくなってしまって、かあっと顔に熱が集まる。ショッピくんは首を傾げながらも靴を脱いで玄関に上がった。
「おかえり、ショッピくん」
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作者名：千歳 | 作成日時：2020年3月29日 16時
