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「お母さん、ただいま‥‥どうしたの？」
浮かない表情、いつもより青い顔色はなにか思い詰めているようだった。なにかあったのだろうか。上着を脱がないまま、駆け寄るとお母さんはぎこちない動きで私を見る。
「お兄ちゃん、の彼女の話、したでしょう。この前」
「え？」
「今日、私が‥‥帰ってきたら、この間と同じ子が家の前にいて‥‥」
血の気が引く。
「今日鬱くんはどこにいるんだって詰め寄られて‥‥分からないって言ったのよ‥‥でも聞いてくれなくて‥‥」
お母さんの腕に、掴まれたような痣。
「‥‥どうしよう」
「お母さん？」
「私が、至らないから‥‥だから、鬱くんがこんな‥‥私がまた‥‥しっかりして‥‥だから‥‥」
頭の中で警報が鳴っている。
お母さんの瞳に光がなくなって、私のことなんてまるで見えていないようで。
「お母さん！」
私が、守らなきゃ。
あの頃の私は、お母さんに守られてたんだから。今度は、私が。
「あのね、違うんだよお母さん」
「‥‥？」
「あの人ね、たしかにお兄ちゃんと前に付き合っていた人なの。でもね、性格が合わなくて別れちゃったんだって。それから少しね、ストーカーっぽくなってて‥‥お母さんには心配かけたくなくて言えないんだって、お兄ちゃん言ってたの」
よくもまあ。
頭の隅で嘲笑する。
「大丈夫だよ。お母さんのせいじゃないの。お兄ちゃんにちゃんと話した方がいいよって、私からも言うから。私とお兄ちゃんが仲良しなのはお母さんも知ってるでしょ？」
すらすらと、ぺらぺらと。
話すたびに頭痛がして、お腹の辺りが苦しくなる。
「だから見守ってて、ほしいな。お兄ちゃんももう大人だもん、この間も言ったでしょ？もう社会人だし、ね？お母さん」
お母さんの表情に、生気が戻っていく。
目尻に涙を浮かべて、お母さんは私の言葉を何度も噛み締めるようにうんうんとうなづいて、にわかに微笑んでくれた。
「そうよね、もう２人とも子供じゃないものね。ごめんね、A」
「ううん。大丈夫。お母さん、明日泊まり勤務でしょ？今日は私がご飯作るからもうお風呂はいってきたら？」
「ええ、ありがとう。そうするわ」
お母さんは弱々しく微笑んで、寝室へ寝巻きを取りに立ち上がった。私はようやく上着を脱いで、ゆっくり息を吐く。
「(私が、守らなきゃ)」
お母さんを、大切な私の家族を。
私はどうなってもいいから。
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千歳(プロフ) - めぅか。さん» 初めまして！はい、全くもって無関係です。そちらを意識した訳では無くこの単語の意味合いを持たせたお話のため付けられたタイトルです。ご理解賜りますようお願い申し上げます。最後まで読んでくださりありがとうございました！ (2020年4月9日 21時) (
レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - ゆうかさん» 私もしんどい思いをしながら書いておりました…自分で書いておいて「救いはないんですか！！」って感じです…一緒に見守ってくださりありがとうございました！私もrbrさんすごく好青年に書けたな…としたり顔してます！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - まもやろたおさん» ありがとうございます・・なんとか完結に漕ぎ着けました・・・！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
めぅか。 - あの、これのタイトルってま/ふ/ま/ふ/様の曲と同じではありませんか？不快な思いをされる方もいらっしゃるのでは無いでしょうか？作者様はそういうつもりがないのは重々承知しておりますが一応言わせていただいときます。作品としてはとっっっっても好きです！ (2020年4月8日 22時) (レス) id: aacdd32f14 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - しんどい……(；；)こういう自己犠牲だったり屑だったりするお話好きなので、辛いけど最高でした……登場人物の感情がまっすぐに伝わってきて、凄く感情移入出来ました。すごい……完結おめでとうございます、お疲れ様でした！！(個人的にはrbrさんが凄い好きでした) (2020年3月30日 19時) (レス) id: 8749d17fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千歳 | 作成日時：2019年9月30日 0時
