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「っそんなこと、言えるわけない！」
「どうして？」
「そん、なこと、言ったら‥‥」
冷たい汗と熱くなっていく頬に、脳天がくらくらして、目眩がする。そんなこと、そんなこと言ったら。お母さんは壊れてしまうかもしれない。
私が、唯一気づいている私がなんとかしなければ。
「言え、ないよ‥‥！」
「なら、黙ってて」
「‥‥おに、ちゃん」
「黙ってずっと、そのままでいたらええやん」
笑っている。やっぱり笑っている。
涙が出そうになって、ぐっと口を結んでこらえた。お兄ちゃんはそんな私をじっと見つめていたが、突然ころっと態度を変えて今日の夕飯は？と尋ねてきた。
「‥‥？、親子丼、だけど」
「そっか〜。Aちゃんのご飯は美味しいからな〜。俺さきにシャワー浴びてくるから、できたら置いといて〜。なんなら、お母さんと先たべててもいいから」
「え？」
その瞬間にがちゃん！と鍵がひらく音がして、お母さんの帰宅を告げる声がする。
「あ、おかえり〜。Aちゃんがご飯つくってくれてるよ。俺は風呂入ってくるから先食べててや」
リビングの扉を開け、すらすらいつもの調子で軽くそう言いながら、お兄ちゃんはさらりと２階へ上がっていく。お母さんが帰ってきたから、話、やめたんだ。
お兄ちゃんと入れ替わって、少し疲れた様子のお母さんがリビングへと顔を出す。
「ただいま、A」
「‥‥あ、おかえり」
「？ どうしたの？ぼーっとして」
「ううん、なんでも」
お母さんの前では、いつものお兄ちゃん。
私が黙っていれば、このままでいられる？
耳を塞いで、うずくまって、耐えていれば。いつの間にか嵐は過ぎ去っていくもので。
どこかの小説の一節だったか、それを読んだとき私は大いに納得してそんな自身に嘲笑したものだ。そうやってお母さんもうずくまって耐えていた、私も真似をするようになって、
このまま、そう。このままなら。
「(私が、今度は守れる)」
いままでお母さんと、そしてお兄ちゃんにも守ってもらってた。これからはこれが、私にできる精一杯のことなんだ。
「お母さん、味見してくれる？」
いつも間にか板についた愛想笑いに、お母さんも笑って返してくれた。
それでいい、これでいい。
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千歳(プロフ) - めぅか。さん» 初めまして！はい、全くもって無関係です。そちらを意識した訳では無くこの単語の意味合いを持たせたお話のため付けられたタイトルです。ご理解賜りますようお願い申し上げます。最後まで読んでくださりありがとうございました！ (2020年4月9日 21時) (
レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - ゆうかさん» 私もしんどい思いをしながら書いておりました…自分で書いておいて「救いはないんですか！！」って感じです…一緒に見守ってくださりありがとうございました！私もrbrさんすごく好青年に書けたな…としたり顔してます！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - まもやろたおさん» ありがとうございます・・なんとか完結に漕ぎ着けました・・・！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
めぅか。 - あの、これのタイトルってま/ふ/ま/ふ/様の曲と同じではありませんか？不快な思いをされる方もいらっしゃるのでは無いでしょうか？作者様はそういうつもりがないのは重々承知しておりますが一応言わせていただいときます。作品としてはとっっっっても好きです！ (2020年4月8日 22時) (レス) id: aacdd32f14 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - しんどい……(；；)こういう自己犠牲だったり屑だったりするお話好きなので、辛いけど最高でした……登場人物の感情がまっすぐに伝わってきて、凄く感情移入出来ました。すごい……完結おめでとうございます、お疲れ様でした！！(個人的にはrbrさんが凄い好きでした) (2020年3月30日 19時) (レス) id: 8749d17fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千歳 | 作成日時：2019年9月30日 0時
