わたし9歳、兄14歳 ページ18
部活だから、生徒会だから。
中学生になったお兄ちゃんは本当に忙しくなった。お母さんは最近お兄ちゃんが忙しくて寂しいわね、とわたしに笑いかける。
「う、ううん。お兄ちゃんの邪魔しちゃだめだから‥‥」
「そうよね。Aはお兄ちゃん思いのいい子ね」
お兄ちゃんと仲良しでいられなくなることで、お母さんの求める幸せな家族にはなれないんじゃないかと懸念していたのは、結果から言えば杞憂だった。
中学生の兄が妹に構えなくなることは、お母さんからすれば当然のことだったようだ。
胸をなでおろしたけれど、心のどこかに引っかかりも覚える。
「‥‥」
お兄ちゃんはあの日、もうきょうだいごっこは止めようと言った。そうして、前のお兄ちゃんではなくなってしまった。
本当は、嫌だったのかな。私に勉強を教えたり、一緒に帰ったり、何でも話して、頼っていいって言ってくれたり。優しいお兄ちゃんは全部全部、嘘だったのかな。
「(それとも‥‥)」
また、私が。
嫌な記憶が頭の隅をかすめて、焦がした。私が至らないからと叩かれていたお母さんのこと。お母さんの見えないところで、叩かれていた私のこと。
そうだ、きっとまた私が間違えた。
もっと私がしっかりして、今度はお兄ちゃんに頼らなくても大丈夫になれば、また。お兄ちゃんは元に戻ってくれる。
「A、今日はお母さん少し帰りが遅いの。お夕飯は冷蔵庫にいれておくから、温めて鬱くんと食べてね」
「うん」
お夕飯。
お兄ちゃんの分、私がしっかり準備して一緒にご飯たべてもらおう。
お母さんをしっかりお見送りして、宿題も手こずらせながら何とか終わらせた。冷蔵庫にはカレーが入っている。野菜室からレタスやトマトを取り出して、家庭科の教科書を開く。
サラダなら授業で作ったことがある。
慣れない包丁をつかって、不格好で情けないへろへろのトマトとレタスのサラダが一品できた。
「お兄ちゃん、もうすぐかな‥‥」
カチ、
鍵の開く音。車の音はしなかったから、お父さんじゃない。お兄ちゃんだ！嬉しくなって、わたわたしながらカレーの鍋を火にかける。
急げ急げ。
しっかり準備して、このサラダはAが作ったんだよって。
「本当にいいのー？お邪魔しちゃって」
「ええんよ〜。今日は親帰るの遅いし、ちょこっとだけ、な？」
知らない女の人の声。
思わず、体が固まった。
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千歳(プロフ) - めぅか。さん» 初めまして！はい、全くもって無関係です。そちらを意識した訳では無くこの単語の意味合いを持たせたお話のため付けられたタイトルです。ご理解賜りますようお願い申し上げます。最後まで読んでくださりありがとうございました！ (2020年4月9日 21時) (
レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - ゆうかさん» 私もしんどい思いをしながら書いておりました…自分で書いておいて「救いはないんですか！！」って感じです…一緒に見守ってくださりありがとうございました！私もrbrさんすごく好青年に書けたな…としたり顔してます！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - まもやろたおさん» ありがとうございます・・なんとか完結に漕ぎ着けました・・・！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
めぅか。 - あの、これのタイトルってま/ふ/ま/ふ/様の曲と同じではありませんか？不快な思いをされる方もいらっしゃるのでは無いでしょうか？作者様はそういうつもりがないのは重々承知しておりますが一応言わせていただいときます。作品としてはとっっっっても好きです！ (2020年4月8日 22時) (レス) id: aacdd32f14 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - しんどい……(；；)こういう自己犠牲だったり屑だったりするお話好きなので、辛いけど最高でした……登場人物の感情がまっすぐに伝わってきて、凄く感情移入出来ました。すごい……完結おめでとうございます、お疲れ様でした！！(個人的にはrbrさんが凄い好きでした) (2020年3月30日 19時) (レス) id: 8749d17fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千歳 | 作成日時：2019年9月30日 0時
