3 ページ15
「Aちゃん良かったわ、様子がおかしかったから心配していたの」
第2試合の終了後、私たちのたチームは第3位での通過、そして1時間の昼休憩と言われ生徒たちは昼食を摂るためにフィールドから建物の中へと移動していた。
その途中で梅雨ちゃんが眉を下げて私の元へと駆け寄ってきてくれたのだ。
「え？私？」
「騎馬戦のとき、チームを組もうと思って声をかけたの。でも、何だかAちゃん様子がおかしくて。あの普通科の男の子に連れて行かれちゃったの。試合開始直後だったから、追及も出来なかったわ、ごめんなさい」
「そ、そんな！どうして梅雨ちゃんが謝るの！？大丈夫だよ、ごめんね」
「ええ、でもすごいわAちゃん。いつの間にか3位に･･･」
「う、うん、私もびっくりかも･･･」
「やっぱり、守沢さんも」
「え？」
私たちの後ろを歩いていた尾白くんが、神妙な表情で口を開いた。
「奴の、個性なのか･･･」
「尾白ちゃん、どうしたの？」
「！ あ、いや････なんでも。じゃあ守沢さん、俺は行くね」
「う、うん」
尾白くんは険しい表情のまま、先に行ってしまった。どう伝えるべきか、どうしたらいいのか分からずに私はまた、背中を見送ることしか出来ない。
「･･･」
「Aちゃん、また悩んでる顔してるわ」
「え、あ、そ、そうかな」
「話せないこと？」
「･･･まだ、私も整理がつかなくて。何が正しいのか、わかんなくて」
"分かったろ、俺は格好良い主人公なんかじゃないって"
心操くんのあの言葉が頭のなかで反芻している。青山くんと尾白くんは心操くんのたぶん個性によって、操られて騎馬にさせられていた。
でも、
「(梅雨ちゃんが私の様子がおかしかったって言ってた････私も、1度心操くんに個性を使われたんだ。けど、解いてくれた)」
どうして？どうして私は解いてくれたんだろう。心操くんの指示は的確だったし、冷静だった。きっと彼なら、私も使いこなせたはずだ。
「(格好良い、主人公じゃなんかじゃない)」
彼の言葉がひどく胸に残っている。私はモヤのなかで、あの悲痛な表情を見たような気がする。
「(悪い人、じゃないと思う)」
「Aちゃん。誰かの正しいは、誰かにとっては間違いなの」
「え？」
梅雨ちゃんが徐ろにぽつりと呟いた。
「全てをその2分した枠には嵌められないわ。だから、Aちゃんとって譲れないものを信じるのがいいと思う」
ケロ、と梅雨ちゃんは笑う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 127人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千歳(プロフ) - ナモミールさん» ひえー！ありがとうございます！うんうん考えながら書いているので嬉しいです！尾白くんはもう主ちゃんちょっと気になってる感じですね、たぶんUSJ辺りからです。どうなるかどうか一緒に見守ってください！ありがとうございました！ (2020年3月27日 23時) (
レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
ナモミール(プロフ) - 凄く面白いです!あまり尾白君の出番がある作品はほぼ無いので凄く好みです…!個人的には夢主ちゃんのお相手になったら…(←図々しくてすみません) (2020年3月24日 1時) (レス) id: fc525afbc4 (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - orangeさん» ありがとうございます！私得だけだと思って書いたんですが、楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからもよろしくお願い致します！ (2019年8月22日 16時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - 続編おめでとうございますー！一番最初の方にオマケ（？）みたいな感じで載っていたお話、とっても面白かったです！更新応援していますー！ (2019年8月22日 9時) (レス) id: 59138960e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：千歳 | 作成日時：2019年8月4日 21時
