ぼく１６歳、妹１０歳 ページ12
中学卒業から高校と何人か、付き合ってほしいと告白されたが俺は全てを断っていた。気持ちの整理がつけられないままに別の女の子と付き合うことは、どうしてもできなかった。
そんなことよりも俺は必死だった。
お母さんの手伝いを積極的にして、Aの傍にいるための口実を必死に作った。その過程で自然と家事は覚えた。
Aの勉強を教えてあげられるように、勉強にも手を抜かない。
かっこいいお兄ちゃんでいたくて、部活もやったし、グルッペンについて生徒会にも入った。
Aは俺の話を聞くたびに目をキラキラさせてはしゃいで、俺を褒めたたえた。なんでここまで、と呆れられても仕方がない。けれど。
兄である俺が、好きな子にできる唯一のアピール方法だったんだ。
「Aは学校で好きな子とかいないん？」
仲の良い兄妹の土台は組んでいるからきっと、これを聞いても違和感はないはずだ。俺になついているAは反抗期なんて知らないようで、素直に口をひらく。
「いないよー。よくわかんない」
「そうなんや、でもかっこいいやつとかおるやろ？」
「お兄ちゃんの方がかっこいいよ！」
嬉しくて叫び出しそうになる。
微塵も表情には出さずに、ありがとなとだけ返す。あかん、口の端はちょっとにやけたかもしれん。
純粋に慕ってくれるAが可愛い。
「あ、でも」
「ん？」
「今日、◇◇くんに好きって言われた」
笑顔を崩さなかった俺を、褒めたたえてほしい。
「◇◇くん？」
「うん。付き合ってって。でも付き合うってあんまり変わんないんじゃない？って友達に言ったら、キスとかするでしょって」
Aが顔を赤らめる。
「Aはまだしたことないから、オコサマって言われる」
「‥‥」
いや俺がほぼ毎晩めっちゃしてんねんけどな。というブラックジョークが沸いたが、いやいやと首を振る。
「まだAは小学生やし、そういうのは早いんちゃう？」
「もう５年生だよー！」
「俺からしたらまだまだ子供ですけど？」
「そりゃそうだけどー」
うーんやっぱりよくわかんないし、ごめんって言う、とAにええ子とまた頭を撫でた。俺に頭を撫でられるのが好きらしいAが、少し照れくさそうに笑うのが可愛い。
「さ、宿題しよか？俺の部屋でする？」
「うん！お母さんにお菓子たべてもいいか聞いてくる！」
笑われてしまうかもしれないが、このままでもいいんじゃないか。と俺はこのとき考えていたのだ。きっとまだ、救いはあるって。
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千歳(プロフ) - 櫻さん» ひえーありがとうございます！嬉しいお言葉頂戴してしまい恐縮です‥‥この２人にとっては、どんな結末になっても幸せになれないな、と思い詳しく書けなかった次第です。私のさじ加減で決めつけてしまう気がして‥‥。ありがとうございました！ (2019年9月29日 18時) (
レス) id: 3a13f3dc2e (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - きのこ(em推し)さん» ああああ楽しんでいただけたのならよかったです‥‥！ほのぼの(？)書く事が多くてこういう系統はあまり書かなかったので‥‥！崇めないでください‥‥！でもありがとうございます‥‥！ (2019年9月29日 18時) (レス) id: 3a13f3dc2e (このIDを非表示/違反報告)
櫻(プロフ) - 心臓がっ！心臓が痛い！！とても素敵なお話に出会えてもう言葉にできません。二人がどうなったのか読者に考えてもらえる構成が素晴らしいと思いました。 (2019年9月29日 14時) (レス) id: 9db9e664f9 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(em推し) - あぁぁっぁぁっぁあ尊いぃぃぃぃぃぃぃtn氏カッコ良過ぎるよぉぉぉ神作者様の千歳様を崇めさせてください。 (2019年9月28日 18時) (レス) id: 4906f728aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千歳 | 作成日時：2019年9月28日 4時
